Trial12 ―――「誰の為に?何の為に?」―――


      
なぁ、

      何で、山吹からわざわざウチに来たわけ?

      いつもの部活が終わった後、眠くて欠伸かいていた日。

      俺はちょうど良い芝生の上を見つけて寝転ぼうとしていた。

      『きゃ!?』

      あの時は驚いたぜ。

      寝転んだ時、女の子の声がしたんだからな。

      しかも、ジャストフィットする抱き枕を手に入れた俺はその気持ち良さについ眠り込んじ

      まった。

      『ぶえっくしゅん!」

      それから俺が起きたのは辺りがすっかりネオンでライトアップされた20時を軽く回って

      いた。


      『あ…あのぉ』


      あぁ、また家ではどっかで寝ているだろうって呆れられているだろうなとため息を吐いてい

      ると、抱き枕の代わりのものが動いた。

      しかも、喋った。

      また俺他人を抱き枕にしちまったのかよ!?

      ばっと身を離すと、確かに見知らぬ女の子だった。

      …マズE。

      よりによって俺は異性を抱きしめて何時間も眠りこけていた。

      その子は髪や制服に付いた枯葉を掃わずただ頬を赤くしてこっちをじっと見ている。

       こうしてマジマジとよく見ればかなり可愛E〜!

      白い肌、大きな瞳、小さな唇……そして、今時珍しい黒髪。

      家にある日本人形のようで何だか見ているだけでキンチョーしてきた。

      だけど、その子が着ている制服には覚えがあった。

      その独特の作りは、山吹のもの。

      しかも、高等部の。

      『あ、あの!』

      俺が珍しく会話に詰まっていると、気がついたように鞄から取り出したものを目の前に

      出した。

      それはオレンジのリボンでラッピングした箱。

      『好きです!』

      あのコクリは不意打ちだよ。

      なぁ、

      あれからもう早いことで一週間が過ぎた。

      あの中に入っていたのは手作りのチョコだった。

      中にナッツが入っていてとってもおいCかったぁ。

      『あ〜…ねみE〜』

      家が氷帝の近くってことで、俺は部活が終わってから正門で待ち合わせてその子と帰って

      いる。

      欠伸を遠慮なくしている俺を隣で見上げているはいつも心配そうに大丈夫?と聞いてくる。

      A〜そんな可愛E〜顔見ちまったら俺とまんねーじゃん。

      俺はあの芝生の上にを抱きしめたまま寝転ぶと、じゃあこのままやっちゃう?って冗談

      で言ってみた。

      マジメなお前はいつもマジに受け取って顔を赤くするから俺はキスをしたくなる。

      『誰の為に?何の為に?』

      最近の俺はそれだけじゃ修まらなくなってあぁ言ってを困らせている。

      お前から視線を逸らさずに見ればいつだって顔を赤くして俯くから。

      そんなに俺は夢中で好きだって何回も角度を変えてキスをしたくなるんだ。



      ♯後書き♯

      Trial12「誰の為に?何の為に?」はいかがだったでしょうか?

      今作はバレンタイン企画に作成しました。

      初の芥川君の手紙なのですが、どうだったでしょうか?

      私自身初に作業するのでというのもあるのですが、やはり上田さんの演じるキャラは書

      きにくいです。(汗)