Trial28 ―――信念―――

      大石君。

      あなたは凄いですね。

      私には、大石君のようにできるか分かりません。

      我が立海テニス部の部長幸村の見舞いの帰り道、私はあなたの後姿を見つけました。

      私が声を掛けた時、大石君は心底驚いた顔していましたね。

      そんな顔を拝見したのは関東以来ですね。

      ですが、私はあなたを驚かせたいために現われた訳ではありません。

      振り返った大石君の目元はそれほどではありませんが、赤く腫れていました。

      私はそれに瞬時に胸を鷲?みされた感覚に襲われたのを今も覚えています。

      街灯がちらほらと点き出した頃、私達は近所の公園のベンチに腰を下ろしました。

      このポケットパークには普段、子供たちで溢れ返っているのでしょうが、今は誰もいません。

      それもそのはずでしょう。

      古ぼけた時計台を見ると、19時43分でした。

      まぁ、このような場合、第三者がいない方が宜しいでしょう。

      私は隣に座るあなたに水道で冷やしたハンカチで目元を冷やしながら、大石君の信念に今

      度はこちらが驚かされました。


      あなたはどこまで強いのですか?

      関東大会でもそうでした。

      あの真田君にも宣戦布告をしますし、敗者としても「コート上の詐欺師」と恐れられている

      仁王君と私のダブルスに決して退けることなく、立ち向かってきました。

      大石君。

      私はあなたは素晴らしい男子だと考えています。

      全国大会、私はまた、大石君と試合をしたかったです。

      そして、今度こそは一点も取らせはしない。

      そう考えていたのです。

      しかし、あなたの完治していない手首をさらに悪化させるわけにはいきません。

      よくよく考えれば、あの試合も怪我が完治していなかったのに良くもあそこまで頑張りまし

      たね。

      私は大石君の信念の強さに敬意を表します。

      ですが、そんなあなただから辛かったのですね。

      強者が更なる高みを目指すことは当たり前です。

      我々立海も王者と呼ばれてもいつ、大石君のような選手に出会うかなど予測はできません。

      ですから、童話の「ウサギと亀」のようにはいられないのです。

      腫れが引いたと思われる頃、私は「泣きたい時は思い切り泣いて良いのですよ?」と、

      至近距離で呟いた。

      あなたは頬を染め、再び驚いたような顔をしました。

      たった一つ私の中に消えないものがあります。

      それは、誰もいない夜の公園であなたと口づけを交わしたことですよ、大石君。



      ♯後書き♯

      Trial28「信念」は如何だったでしょうか?

      柳生×大石。

      はい、またまた柊沢はマイナーといいましょうか、あまり他所様が取り扱わないであろうと

      思われるBLを作業したわけですが、皆様に受入れて頂けたでしょうか?

      今作は、「原作 大石秀一郎君ごめんね…」キャンペーンに作業しました。

      え〜っと、我ながら人見知りをする性格(多分、それは白い部分を演じようとする黒柊沢

      がさせているようにも思いますが)なので、敬語を使うのは慣れているのですが、合ってい

      るとは限りませんね。(笑)

      なるべく砕けることを心掛けているような言葉遣いをしているので。(苦笑)