Trial40―――お酒―――

       ねぇ、ちゃん。

       そんな顔をするなんて君って本当、反則だよね。

       今日はひな祭り。

       俺は男兄弟だから、女の子がこの日にお祭りをしてるのが羨ましかった。

       カウントダウンも残り僅か、今までのようにちゃんの前にいられなくなる。

       だけど、俺が君の前から消えちゃうわけじゃないから心配しないでね。

       俺は今までの通りちゃんの傍にいるよ。

       森の広場で寝転びながらひなあられを食べてると、やっぱ喉が渇いて。

       甘酒を腰に手を当てて飲んでたら、空が眩しくてもう少ししたらぽかぽかと暖かくなるん

       だろうなぁって思うと嬉しくなった。

       ねぇ、ちゃん。

       春になったら、どっかに出かけよう。

       君と一緒なら近所の公園だって楽しいよ。

       俺の隣ですやすやと寝息を立てているちゃんは、俺がずっと憧れてたひな祭りに

       混ぜてくれた自慢の彼女。

       だけど、甘酒を飲んだらそのまま寝ちゃった。

       ねぇ、その無防備な寝顔は反則だよ。

       俺はこんなにちゃんが大好きでこんなに幸せなのに、そんな顔をされたら俺、ど

       うすれば良いかなんて解んないや。

       頬を染めて時々、「和樹先輩」って呼ぶ声だけが俺は俺でいなくちゃって教えてくれる。

       大好きだよ、ちゃん。

       君がいるから俺は何処までも行けると思う。

       唇に付いたあられのカスを舌でそっと拭う。

       柔らかいそこは一瞬硬くなるけれど、俺を拒もうとはしない。

       それは、いつもの優しいちゃんを感じさせてくれる。


       ねぇ、明日も晴れたら良いね。

       そしたら、また君と空の下で会えるから。



       #後書き#

       Trial40「お酒」は金色のコルダの火原和樹君でした。

       あぁ、コルダ作upしたくても出来ない〜。

       不満はないけど、ほとんどテニプリリクだし。←贅沢な!

       来たれ!コルダファンの方!!