Trial81 ―――もう、立ち止まらない―――
なぁ、。
覚えているか?
俺たちが初めて出会った時の事を。
って言ってもよ、それは俺だけなんだよな。
お前はずっと前から俺のことを知っていたんだよな。
は俺の妹の友達の姉貴って言う書くとやめんどくせぇ関係なんだけど、俺の後輩って
言えばいくらかマシになる。
青学の一年で「青学タイムス」の取材で何度か姿を目にしたような覚えがある。
だけど、お前は言っちゃ悪いがホント新聞部には向いてないよな。
だってよ、いつも見ている二年三年の先輩の背中に隠れているんだぜ。
ほかの新入生はとっくにこの独特の雰囲気になれたってのによ。
でもよ…今日、そのわけが分かったぜ。
なぁ、。
誰が、橘の妹とデキてるって?
しかも、青学中にそんな噂までたてられているのかよ?!
…俺って、そんなに軽く見られてたのかよ。
そりゃ、……さ。
可愛い女の子見りゃ口説きたくなるのが男の性ってモンだけどよ。
俺にも選ぶ権利があるっての!!
まぁ、さ。
その誤解があってからこそ今の俺らがあるんだけどな。
俺は情けねぇことに去年の六月、校内ランキング戦で乾先輩に負けてレギュラー
落ちした。
それからと言うものほかの奴らに顔を見せられなくてずっとストテニで自分を鍛えて
いた。
今の俺はまだまだ弱いんだってことが乾先輩に負けてよく解った。
それと一緒に強くなるのに、限界なんてないんだってことも、な。
だけどよ、やっぱ、心のどっかじゃ塞ぎ込んでいたんだな。
強がりばっかで固めて誰にも触れられたくないって柄にもなく無意識に思っていたん
だな。
「桃城先輩っ!」
息を乱してこっちを睨みつけている姿はいつも目にしているお前とは別人だったぜ。
俺の所まで来るといきなりビンタかますはビービー泣くは。
アン時はマジで焦った。
なぁ、。
その…ありがとな。
心配してくれて、さ。
「先輩が男テニ辞めるんなら私だって新聞部辞めます!だって……だって、いつも
キラキラしている桃城先輩を追いかけていきたいから入ったんですよ」
あの言葉は今も俺の糧となっている。
お前が俺に勇気をくれたんだ。
サンキュー。
なぁ、。
もう、立ち止まらないぜ、俺。
お前が俺の傍にいてくれる限りな。
♯後書き♯
Trial81「もう、立ち止まらない」はどうだったでしょうか?
今作は爽やか系に青春チックにしてみました。
桃城君ファンの方はお待たせしました。
初夢手紙は年下で妹の友達の姉というかなりな設定にしてしまいました。(汗)
まぁ、たまにはこういったヒロインを扱ってみるのもなかなか面白いなぁと後書きを
書いている今思っています。
それでは、今宵も良い夢の一欠けらを紡いで下さい。