Trial27―――ダブルス―――

 

      俺は貞治に引越しすることを伝えようか伝えまいか迷っていた。


      当時、ジュニアテニスでは俺たちの名を知らない者がいないほど轟かせていた。


      だからこそ、俺は真実を伝えることが恐ろしかった。


      『んっ…蓮司……っ』


      今日、互いに立海と青学と言う名を背負いコートに立つ。


      これをどんなに待ち焦がれていたことかお前には解るか?


      『ちょ……っ、ああ』


      分厚い眼鏡を外させたためか、貞治はいつもより羞恥に敏感になって俺にさらけ出して

      いる
下半身を両手で隠す。


      ふっ、可愛いな…今も、あの時も……。


      『俺たちずっとパートナーでいような。二人で組めばいつか世界だって相手に出来る』


      そうと、俺はあの日が来るまで信じていた。


      だが、そんな子供の願いなんて結局は叶うはずなく、俺は何も言わず東京を後にしたんだ。


      あの試合は俺も忘れたことはなかった。


      ……なのに、実際はお前に乾杯だったな。


      しかし、テニスではそうでも寝所ではそうはいかないさ。


      『はぁ、はぁ……クッ!』


      『ふっ…あ……っ……貞治っ』


      今日は十二月三十一日、大晦日。


      感の良い姉さんが予約してくれたホテルで俺たちは新しい年を迎える。

 

      ♯後書き♯

 

      Trial27「ダブルス」はいかがだったでしょうか?

      今作は、「除夜の鐘がなる前に企画」でお送りしております。

      初柳乾は裏BLにして見ましたが、いかがだったでしょうか?

      「ダブルス」と言うので、かなり迷ったのですが過去にダブルスを組んでいたお二人に

      
協力をお願いしました。

      それでは、良いお年をお過ごし下さい。