Kiss, ONE MORE TIME     



         ────夏も終わろうとしています。

          今朝もこっちは良い天気です。
          こんなに空が澄んでいると、あなたのいる東京の雲が見える気がします。

          あなたが行ってしまった朝も、空は雲一つなく、澄み渡っていたよ…

                            「聞いたことない」
                       「そうでしょう、まだ無名校ですから」

 

          中2の夏、はじめは東京の中学校から優待生として招待された。
         全国の精鋭選手を集めるそうだった。


                              「行くんだ」
                          「ええ。チャンスですから」

 


         はじめは行くってわかってたのに、
         そんなこと聞いたあたしはバカだった?

         ちょっとだけ、悩むフリをして欲しかったの。

 


                                              が止めるわけ無いとわかっていたのに、
                                     あんな風にしか言えなかった僕はバカだったのでしょうか?

                                           少しだけ寂しそうに、応援して欲しかったんです。


                                      ──あれからあなたとは何の連絡も取りませんでしたが、

                                                        恋人が出来たと聞きました。

                                                       …幸せになれると良いですね。



                                              僕は今年のチャンスを失ってしまいました。

                                        こんな僕でもセンチメンタルになることもあるんです。



                                             久しぶりに、故郷の空気が吸いたいです───

 

                        「はじめ君、帰ってくるってね」

         忘れた頃にやってくるなんて、本当にはじめらしいよね。

         都大会で敗退したって聞きました。
         あなたは何を求めてここへ帰ってくるのでしょうか。
         あなたがここを発ってからも、ここの時間は流れているのに。


         ──蝉が五月蠅いのは、いつもより感覚がとぎすまされてるせいなのでしょうか?

         意識より先に、神経が、あなたを追っていると──?

                           「お久しぶりです」

                              「うん」
 


         髪、伸びたね。 少し痩せた? そういえば、背も…

                                           ─あなたはこんな表情をする人だったでしょうか?

 
                                       誰があなたをこんなに綺麗にしてしまったのでしょうか。

                         「、学校のみんなは元気ですか?」
                                「うん」


         話したいことなんて、はじめから無かったよ。

                          「高校もそっち行くんでしょ」

         まだあたしは、かわいくないことを言う。

         『疑問』じゃなくて、ただの『確認』なのに。


         はじめは黙った。


         ──はじめが何て言えば、あたしは満足するのでしょうか。

 

                                       ──僕が何というのを、は待っているのでしょうか。




                                       いつでも僕とあなたの心は、何かを隔てたところにある。

                                        ただふたりの間に、中身のない言葉ばかり降り積もる。


                                                それを一掃できるなら、それは────…


                                           ───僕はに歩み寄り、その唇に口づけた。

 

         ───はじめはあたしに近寄ったかと思うと、キスをした。


                         「キスする時くらい目を瞑りなさい」
                                 「─ん…」


         あたしが目を瞑ったら

                                                      あなたがまぶたを閉じるから

         キスしてくれるでしょうか

                                                       キスして良いのでしょうか

                              「しないじゃん」
 


         あたしは笑った。

         あたしに、『彼』がいるからですか?



         ───あたしたちが一番近くにいたのは
 

                                            ───僕たちの心が確かに同じ場所にあったのは




                                あの時で
 


         今はもう戻れないとわかってて

                                            それぞれの道を確かに歩いているはずなのに

 

         本当はあたしたちを繋いでいたのは

                                                僕たちを塞いでいた意味のない言葉で

         もしあの時あたしが

                                                                     僕が

         行かないでと言えば─

                                                          ついて来いと言えば─
 


 

                         ───それでも空は青いけど───
 


 

                    ────────クチビルが アツイ────────

 

 

 

         †柊沢のありがたくもない感謝状†

         れゆ〜っvプレゼントありがと〜〜!←こわっ

         切ないお話しになるかもしれないと思って読んでいたんだけど、最後まで読むと段々甘くなってきたか

         ら新たな開拓を垣間見れたようで感動しました!!

         てゆーか、私が無理やり甘い方に持って行かせちゃったかな?

         前に、切な系に弱いって話をしちゃったから・・・。

         もし、そうだったら、ごめんね。

         わざわざキレイな文の構造でとても良かったんだけど、私なりに組み立てたけれど、どうかな?

         そして、次回は、どんな作品を展開してくれるのでしょうか?

         お互いの気持ちに巡り合う二人の気持ちがとてもストレートに表れて素敵な作品です。

         それでは、次回もどうぞ宜しくお願いしますね。