Trial24―――苦戦―――

      『柳君のバカっ!』

      そう言葉を投げ捨てて俺の部屋を出て行った

      俺たちは立海大に入って知り合った。

      お前は学生会の書記の一人で俺のパートナーだ。

      高校までと違ってそう煩く委員会のない大学生活だが、今までが今までだけに

      俺は今日の講義の予習と復習の合間に周到過ぎる運営を考えていた。

      それなのに、最近、あの時のの顔が脳裏を過ぎっては俺を乱れさせる。

      胸を掻き毟りたくなる衝動に襲われ、お前の名を何度も呟く日々が時と共に

      刻まれていく。

      立海大の広い構内の中、顔を合わすことがある。

      だが、はまるで窓の外を眺めたかのように目を細めただけで歩みを止めなかった。

      すべては、姉さんの悪戯が原因だった。

      次の生徒会の準備をするためにお前を家に呼んだのは、夏期休暇もそろそろ

      終わる頃だった。

      作業とは言っても俺が用意したものをホチキスで止めると言う単純作業だが、

      量が量だけにバカにはできない。

      もうすぐ、がやってくると言うのに俺の布団には二日酔いの姉さんが寝ていた。

      女手でこの柳家を支えてくれる彼女には尊敬はしているが、それでも常識を

      弁えて貰いたい。

      兄弟とは言え、俺は男で姉さんは女だ。

      お前が見たら誤解するのは自然なことで、堂々といびきを掻いている姉さんの方が

      世間から外れた常識をバイブルにしている。

      仕方なく体を抱き上げようとすると、恋人の上司と間違えたようで腕を首に

      絡ませてくる。

      俺がやれやれとため息を吐いていると、ノック音が後ろから聞こえたのが夏期休暇の

      終了時間だった。

      顔を赤らめたお前は次第に涙を浮かべ、言葉を捨て台詞に帰ってしまった。

      アレから何日経っただろうか。

      ろくに口を利かないまま時が経つ。

      誤解を速く解きたいと考えているうちにようやく分かった真実。

      それは...が好きだと言う形を変えられない想いだった。

      生徒会が終わった後、帰ろうとしたお前の手首を掴み誰もいない最上階の教室に

      押し込んだ。 

      文句を言う唇に唇を近づけ、一気に舌を侵入させ、何も考えられなくなるほど

      キスをした。

      腰が砕ける寸前に抱き寄せ、涙目で理由を訊くに好きだと何度も囁いた。

      ボタン二個ほど開け放たれた鎖骨の中心に消えないアザを残し、短いスカートの中に

      手を伸ばす。

      『っ!?だめぇ』

      首を左右に振って抗議をしても俺は受け付けない。

      下着をずり下ろし、力が無くなった足を開かせるのは容易なことだった。

      まだ男を知らない場所に舌を差し込み、濡れたものが体の中に入る感覚を

      記憶させる。

      喘ぐと溢れ出る感情の暴走。

      突き上げた感覚がまだ俺を虜にさせる。

      俺にこんな苦戦を味合わせるのはお前だけだ。

      疲れ果てた声に酔わされたまま俺はの体を拭き始める。



      ♯後書き♯

      Trial24「苦戦」はいかがだったでしょうか?

      柳裏Dream手紙は今作で二作目になったのですが、随分前作と月日が経ってしまって

      申し訳ない限りです。(土下座)

      またもや暴走した彼を描いてしまった柊沢は何と今日凄い夢を見てしまいました!

      アニメではない現実の人間が......なものです。

      管理人はアニメのものは好きなのですが、現実のものは嫌いなんですよ。←変体

      ......汚くて。(ボソリ)

      ってこれは一般論なのでお気になさらないで下さいね。

      それでは、ご感想をお待ちしております。