Trial10―――仲直り―――
『うあっ』
『ふっ、ヤラシイな筒井。そんなにイイのか?』
なぁ、アレは誰だよ?
バイト中の俺の目に映った女。
いつからお前は浮気をするようになったんだ?
『違っ…あっ、あっ、あっ』
肩を寄せて交差点を歩いていた二人。
その顔は楽しげで、俺なんかに気づいていないって感じだった。
『あ……っ……やっ』
俺は筒井の何だよ。
その場凌ぎの男かよ?
それも良いかもな。
だがな、俺は本気だったぜ。
これでもマジでお前のこと好きだったし、愛している。
なのに、その間にあっけなく割り込んできたあの遠慮も可愛げの
欠片もねぇあの女は誰だよ!?
『お前……へん…』
変って何だよ。
アレから俺はガッコって断ってはデートも筒井を抱くこともしなかった。
心ではいつでもお前をこの手でメチャクチャにしたいくれぇしたかった。
啖呵を切ったのは筒井だった。
俺の家の前に来て理由を問い詰めてくる。
その迫力もねぇ顔で涙をこぼされちまったら我慢できなくなっちまって
今に至っているわけ。
『はぁはぁ……っ!!』
もう立ち上がった筒井を強引に舌を這わせ、口の中で何も考えられない
くらいに熱に溺れさす。
俺もキツクなっているけど、これくらいじゃ許さねぇ。
嫉妬に狂っている俺は涙で濡れているお前にキスをしていない。
そうすることであのことだって許してしまいそうだから。
そんなことを簡単にするほど俺は理性的でも心の広い奴でもない。
『あっ』
片手で茂みの中で指をばらばらに動かしてもう片方で突起を摘まんで弄ぶ。
『あっ…あっ……かがぁ』
だが、必死で俺の名を呼ぶ筒井に俺はついキスをしてイカしちまうんだ。
『あのコは何でもないよ。ただの囲碁部の仲間なんだよ』
そうか?
女はそんな風には見えなかったぜ。
お前はそう思っていてもな。
だけど、筒井が俺のことだけしか見ていないってことだけでも解って
良かったんじゃねぇ、俺?
……なら、仲直りしねぇといけないよな。
そう思って、俺はまたお前を抱いちまうんだ。
♯後書き♯
Trial10「仲直り」はいかがだったでしょうか?
今作はバレンタイン企画で作業しましたが、初「ヒカルの碁」手紙をupして
みました。
加賀×筒井はこのジャンルではメジャーですよねと作成したのですが、
皆様に受け入れて頂けたでしょうか?
アニメの最終回であの場面を見た私もキャラで復讐をさせてみたいと
これまた怖いことを考えまして適役(彼のファンの方は申し訳ありません)
だった加賀君にして頂いたというわけです。
それでは、こちらまでお読み下さいましてありがとうございました。