Trial16―――聖ルドルフ―――
ねぇ、。†
まさか俺達がこんな風になるだなんてきっと誰も予想していなかった。
聖ルドルフ時代、俺はレギュラーでお前はマネージャーだった。
何度も「好きだ」とも「愛してる」とも言っても伝えきれない想い。
聖ルドルフを卒業して俺は地元の千葉に戻ってきた。
電話はするけど、やっぱり自身に会いたかった。
東京の高校に進学したお前はGWを使って俺に会いに来た。
まったく、嬉しいのやら悲しいのやらってこのことだよ。
他の奴に何かされたらどうするんだよ。
俺が一昨日玄関前で訊いたらはけろっとした顔で私はそんなに可愛くないから
大丈夫だよって笑っていた。
誰が可愛くないって?
お前をこんなに想っている俺は欲しくて堪らなかったってのに。
聖ルドルフ時代、日常耳にしていたあの声がくりくりとよく動く目が柔らかい
背中まで伸びた髪が脳裏を過ぎって胸が苦しくなる。
こんなの全部の所為なんだよ?
俺をこんなに溺れさせて…。
今日は五月五日。
明日にはまた離れ離れになる。
俺は夜、皆が寝静まった頃を見計らって奇襲を賭けた。
『んっ……あ、あっ』
お前は甘いな。
何度も抱いても飽き足らないくらい惚れている俺自身もどうかと思うけど。
『あっ…やっ…』
声を殺している所も素直じゃない所も全部が愛おしい。
『んンっ!』
悪戯心での唇を塞いでいた両手を外してみる。
くすくす、良かった。
やっぱり、感じていてくれたんだね。
GWの最後の夜、俺は彼女に無理をさせた。
けど、俺は後悔はしない。
会えないで悩んでいたのは、俺だけじゃないって解ったから。
♯後書き♯
Trial16「聖ルドルフ」はいかがだったでしょうか?
「やだ」から健全で埋め尽くしましたので、GWの閉めに裏Dream手紙を
手掛けてみました。←意味なし
ヒロインが彼の自宅まで連絡ナシにやってくるってのは一昔のサスペンス
劇場から頂いてきたネタです。
面白そうなので取り扱ってみたのですが、皆様にはどう映ったでしょうか?
それでは、GWに感謝して失礼しました。