真田弦一郎

      [件名]ご苦労だったな

      [本文]

      なぁ、手塚。

      久しぶりにお前の本気を見た時、俺は正直言って複雑な気分だった。

      勿論、手塚が本気を出せば誰かに負けるだとは安易には思わない。

      しかし、それと同時にお前をそうさせるのは俺だけだと考えていた。

      テニスプレイヤーとしても一人の男としても。

      『あっ…真田っ』


      俺の下で鳴く手塚からは想像出来ないほど強く、それ以上に俺を捉えて放さない。

      舌でお前がより感じる部分を刺激すると、溢れ出す想いがシーツを濡らす。

      『はぁっ……あ……はぁ……っ?!』

      荒い息も潤んだ瞳をすべて俺がさせるものだ。

      手塚が九州から戻ってきてからは直に全国の練習が入ってしまったため、
    
      今はおぼろげになってしまったが、これが終わったら久しぶりにお前の温もりが知りたい。

 

 

      手塚国光

      [件名]会いたい

      [本文]

      なぁ、真田。

      覚えているか?


      俺がお前と初めて会った時を。

      俺の傷のことを心配してくれたあの日、嬉しかった。

      だから、真田が見ている前で全力を出し切ったんだ。

      もう、俺は大丈夫だと。

      あの時はお互いまだ未成熟だったが、今は心で……肌で分かち合える。

      九州に行ってから真田を思い出さない日はなかった。

      『…くっ、手塚…手塚っ』

      何度も俺の名前を呼んで腰を動かすのも歪んだ顔で俺を見下ろしてくるお前のことが頭から離れず、気づいた時には

      自然と自分で慰めていた。

      こんなことを知ったら真田は俺のことが嫌いになってしまうだろうか?

      それとも、この大会が終わったらまた抱きしめてくれるだろうか?



      ♯後書き♯

      皆様、こんにちは。

      「Ties」第一作を飾りましたのは、裏真塚です。

      この部屋を作ろうとしたのは去年の授業中取り扱われたアニメがきっかけでした。

      登場するのは未来の中学生である二人の男女です。

      互いに心惹かれながらも告白しない二人はある日、彼女が軍部の特殊部隊に配属されることにより離れ離れになります。

      二人は携帯電話のメールでやり取りするのですが、彼女が宇宙に旅立ってしまってからは地球と何億光年も離れている銀河からメールを送信するものですから現在の年齢から何歳か足した年齢(例:現年齢が18歳の場合、メールが届くのが23歳など)に受信されます。

      これを拝借したのが「Ties」です。

      私の場合はSFチックにはできませんが、互いが送信する様を皆様にお伝えできればと思い、手紙作とはまた違った新たな作品お届けしました。

      それでは、こちらまでお読み下さいましてありがとうございました。