The RoSe FraGranCe
 

              「―!」
              「―…ど…どうして…?オルフェ様が――!」

             私、幻を見ているの?
             私の瞳には確かに、さっきの光景の中にいたはずのオルフェ様のお姿―。

              「、どうか降りてきてくれないか!」

             私は首を横に降った…。



                                         ―厭よ、そんなこと出来ないわ!



             あなたは私を捨てて、その上私にこの醜い姿を晒せとおっしゃるの?!


             オルフェ様のお顔を見るのも胸が痛くて、私はカーテンを閉めた。


                       お願い、どうか、このままあなたを憎ませて―…



             そうでなければ私、これ以上自分を情けなく感じなければならないんだもの!



              ―すぐにまた、静寂が訪れた。
             私の瞳にはまた涙が溢れ出す。

             オルフェ様のお姿を拝見しただけで、こんなに想いがつのるなんて―…


             こんなにせつない想いをいつまで抱えなくてはならないの?



                    いっそのこと、本当にこのまま溺れてしまいたいくらいよ!




              ―ガタッ…


             そのとき。再び窓際から、今度は大きな物音がして、それから―…

             閉めたままのカーテンに、人影が映った。

              「オルフェ様?!」

             私は慌てて窓際へ走り、窓を開けた。

              「こ、ここは三階ですわ!!どうしてそんな無茶を―…」
              「隣の部屋の者に頼み、窓づたいに来た」

             私は、はっと気づいてオルフェ様に背を向けてしゃがみ込んだ。


             こんな明るい灯の下で、オルフェ様に顔を晒してしまうなんて…!

             涙で化粧が崩れ、瞼は腫れ、こんな醜い顔を見られたなんて!!



              「―お願いですからどうか、私にお近づきにならないでっ」
              「それはできない」

             オルフェ様はそうおっしゃると、背後から私の躯を抱きしめた…。

              「オルフェ様…ッ?!」

              「すまない…君にこんなに辛い思いをさせてしまうなんて…」
              「―そう思ってくださるのならどうかこのまま放っておいていただきたいわ!」

              「君は誤解してるんだ、」
             私を抱きしめてくださるオルフェ様の力が強くなった。

              「ええ、そうでしたわ。けれど心配はいりませんわ!
             私、ちゃんと気付きましたもの。私は幻を見ていたって!
             あなたが私にくださったものが偽物だって!」

              「違う!違うんだ――…」


              ―え…?



                       オルフェ様はそっと私の顔を包み込み、口づけをくださった…。



             一瞬、何が起こったのかわからなくて。



              「―今日伝えるつもりだった。君を愛してる」




              ずっと、ずっと夢見てたお言葉。

             でもこんなみじめな姿の私に、ほんとうにそんなことおっしゃるわけないわ…


              「でもっ…私見ましたもの…っ」

             あの光景が思い浮かぶだけで涙が溜まってしまう…。

              「―あれは姉君のご友人なんだ…」
              「えっ…?!」

              「姉君の代わりに成長した私を見に来てくださったのだ。
             君がまだ見えてなかったので一曲踊って、君が見えたら紹介しようと思ったんだ」

              「それは―…ほんとう…に?」


              「君への言葉、気持ちのすべてに、偽りなどない」



                                 ―あぁ、神様―




              「―だけど…っ…私のこんな姿を見てさぞ軽蔑されたでしょう…」
              「そんなこと、あるわけがない…」

             オルフェ様はそっと私の涙をぬぐってくださった。

              「例え君の姿がどんなに泥にまみれようと、あなたの美しさ―
             その心の美しさは永遠に変わらない…」

              「オルフェ様…っ」

              「―どうか私と踊ってくれないか?」

              「え…だけど舞踏会はもう…」

              「私は華やかな装飾や音楽などいらない。ただ、君がいれば―…」

              「―私もですわ、オルフェ様」




             私はオルフェ様に暗い中庭へエスコートされた。


                      空にはまるで私たちを彩ってくれるかのように星が瞬いている。



             ただ静かに。

             私はオルフェ様の腕につかまり、踊り始めた。


              「―オルフェ様、私、幸せです!」
              「私もだ…」


             暗闇で足元もあまり見えないけれど、オルフェ様のリードにただ身を任せる。


                    私、この方になら、どこまでだってついていけるわ――…

 

             ひとしきり踊ると、ふいにオルフェ様は膝をついて私を見上げられた。



              「―…、どうか、君の未来を私に預けてくれないか…」



             私はめいいっぱいの愛を込めて、オルフェ様に抱きついた。




              「喜んで!!」


             今夜は薔薇の香りにつつまれて、


                             ―朝までずっと一緒に…―



             あとがき

             勢いにのって書いてしまったオルフェドリ…;;でもすっごい楽しかったです。

             タイトルの通り、このドリームは
             Tommy feburuary6の『ThE RoSe fraGranCe』をベースにして書いたのですが、
             『マイネリーベ』のこの切ないエンディング…
             プレイした方は一度は迎えたことがあるのではないかと。
             (わたしは欲張ったため何度も迎える羽目になりましたが。)
             このあまりの悔しさ、切なさに、
             『これに更に続きがあれば…!!』
             なんてあつかましい思いを抱いたのがきっかけです。

             今回も『Raw Ore』に参加できて大変有り難く思っています。
             少しでも楽しんでいただけたら光栄です!!



             あいをこめて

             2004,07,26

             月影れゆ

 

             †柊沢のありがたくもない感謝状†

             れゆ〜!オルフェ様を甘く書いてくれてありがとう!!

             はっ!!!いかんいかん、先にとろけてどうする。(爆)

             あはは、私も何回あのエンディングを迎えたか数え切れないくらいあって、本当に女性の方に

             黒い気持ちが・・・。←怖っ!

             この作品は「マイネリーベ」と言う乙女ゲームですv

             先月にはPS2の方で発売したので、記憶には新しいのではないでしょうか?

             柊沢も泣きながら購入しました。(笑)

             二回目も参加してくれて本当にありがとう♪

             おっしゃ、その愛受け止めましたよvv←何だよ、それ

             それでは次回も宜しくお願いします。