Trial42―――散る―――

      ねぇ、さん。

      何故アンタは一々俺のすることにケチつけるのさ?

      まぁ、そう訊けばいつだって「大石さんは悲しくないんですか!」って

      怖い顔をするんだよね。

      ふふっ、そんなさんも好きだけどね。

      でも、俺が人を殺める理由なんてずっと前から言っているじゃないか。

      俺は、自分の目の前で誰かが散る姿を見たい。

      そして、それは俺自身で散らせたいってね。

      誰かが散る姿は美しい。

      それも何かを成し遂げようとする奴は特にね。

      なのに、アンタはそんな俺を見かけるといつも口煩く訊いて来る。

      今日は誰かを切らなかったか、殺さなかったか。

      ねぇ、さん。

      そんなに煩いといつかの時よりも深くするよ?

      それとも俺の言うことを利くような体にしてあげようか?

      アンタを味わう。

      それも俺の楽しみになっている。

      どんな声で鳴くのか今から楽しみだな。

      あの時は俺のことをじっと見つめたままだったけど、あれからずっと俺のことを

      追い駆けてくるし、どうやら媚薬は効いたみたいだね。

      俺はさんが気に入った。

      だから、散る姿がみたい。

      って、いつもならすぐに考えることなのに、今回は違った。

      俺はアンタを散らそうと願う奴らを散らせたいといつからか思うようになった。

      近づく者はすべて…ね。

      さんに触れるのは俺だけで良い。

      唇も心も体も、全部。

      俺のことをじっと見ていたアンタは驚いた顔をしていたくせに

      心臓の鼓動の早さがこちらにも伝わってきた。

      ふふっ、良い反応だね。

      そのまま俺に狂わせている俺もまたさんに狂わされている。

      ふふっ、散らせるのも好きだけど狂い咲かせるのも悪くないね。


      ねぇ、アンタは逃げたい?

      だが、もう逃がしてはあげないよ。



      ♯後書き♯

      Trial42「散る」はいかがだったでしょうか?

      今作は微妙なんですが、「幕末恋華 新選組」の大石鍬次郎dream手紙です。

      なかなか彼も人気があるので作業してみました。

      私はゲーム上の彼を恨みきれなくて結局、作業したのですが、その分

      篠原を徹底的に嫌っています。

      彼のファンの方がもし今作をお読みになられたら申し訳ありません。

      それでは、ご感想をお待ちしております。