Trial17―――愛しい人―――
『あっ、ナオジ…様っ』
あれから一月が経とうとしています。
私は今夜殿と結婚しました。
ローゼン・シュトルツ高等学園に入学してからあなたと過ごした時間ほど
貴重に感じたことはありませんでした。
もちろん、シュトラールの仕事やクーヘンで知り合った方々のことは
とても本当に
忘れられない時間を頂いたと感謝してもしきれないほどです。
ですが、それ以上にあなたとこうして再び巡り会うことができたことが
私にしてはどんな
ことよりも尊く考えてしまうのですよ。
卒業パーティから抜け出した自分達は軽い荷物をまとめて駆け落ちをしました。
日本に殿を浚って行く。
それが自分の欲望であり、あなたの願いでもありました。
帰国後、やはり私が案じていたことが現実となりましたが、殿と共に過ごせる 時代
なら自分は何も恐れることはありません。
『…あっ、ん』
今夜は初夜でした。
まだ脳裏を過ぎる殿の美しい姿が鮮明に思い出しては自分を甘い痛みへと誘います。
こんな気持ちにさせて下さるのはあなただけです。
「キレイですよ。殿」
耽美ない泉をかき乱せば、恥じらいを掌で覆い隠すあなたの声が聞こえてきます。
水音を甲高く奏でると、それに合わせて乱れていきます。
素敵ですよ、殿。
『はぁ、…っ……アアっ』
あなたと一つになることを与えて下さった神に感謝します。
前世で果たせなかった温もりを今、確かめ合うことが出来たのですから。
互いの髪が絡み合ったまま殿に何度耳元で愛を囁いたか解かりません。
私を抱きしめたまま眠るあなた。
その閉じられた瞳には何が映っているでしょうか?
目元にはまだ乾ききっていない雫が輝いています。
それは、自分が殿に付けて消えない刻印が表に表れたものです。
ですから、愛しい人よ。
どうか、自分もあなたに相応しい強さを抱けますように…。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
冴えない管理人の柊沢です。
今作はバレンタイン企画に作業しました。
Trial17「愛しい人」をご覧下さりまして誠にありがとうございます。
如何だったでしょうか?
今作は初「マイネリーベ」ナオジ裏dream手紙でupしました。
耽美夢想をクリア後の私は、卒業パーティ後のことが気になりこうして作業しました。
それではこちらまで読んで頂いてありがとうございました。