Trial18 ―――笑顔―――
ねぇ、光明。
アンタはどうしていつもそんな顔をしているんだ?
愉しそうな笑顔。
光明はそのキレイな金髪に似合っている微笑をいつも絶やさない。
その源って一体、何?
僕には解らない。
この世は腐敗しすぎてる。
本当は汚い物をキレイと崇め、本当はキレイなものを汚いと迫害する。
この世は闇。
ちょうど僕の髪のようにね。
なのに、アンタはいつも笑っている。
ねぇ、その微笑は誰に向けられているんだい?
僕はいつもそう考えると、まるで子供のように嫉妬してしまうんだ。
光明のその笑顔は僕だけの物であって欲しいと願ってしまう。
そんなアンタだから僕は好きになったのかもしれないね。
ねぇ、光明。
アンタは一体何を守るの?
僕は無に等しい存在。
だから、守りたいものなんてない。
この世にあるものなんて全て崩れ去ってしまえば良いとさえ思っている。
今、生まれたばかりの命だっていずれは絶えて土の中に還る。
なんてことを言っている僕だっていつ蝋燭の灯りが吹き消されるか解らない。
ひょっとしたら、明日には塵と同類になるかもしれないね。
それも又一興と言った所だろう。
だけど、この僕にも未練というものがある。
それは、光明。
アンタだ。
光明が笑ってくれるなら何だって良いと思える。
だから、僕がいなくなったとしてもどうかアンタだけは笑っていてくれ。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
今回は初作品である「最遊記」を取り扱ってみましたが、如何だったでしょうか?
Trial18「笑顔」ということで玄奘三蔵の師匠である光明三蔵法師を作業したわけ
ですが、無事にキャラを描けていましたらこれ幸いです。
光明三蔵はその名の通りに光で、それでいて弟子である三蔵の根本を築いてしまった
人物ですから、生前の彼を是非とも作業してみたいと考えていました。
それでは、皆様のご感想を心よりお待ちしております。