Trial22 ―――恐怖―――
橘さん、アンタが不動峰に来る前までは地獄でした。
毎日毎日、何で不良がラケットを振っているのか不思議で仕方なかったんです。
俺たち一年はアイツラの言いなりでストレス発散の道具。
悔しかった。
何も出来ない自分自身を恨み、体中にはキズが耐えませんでした。
恐怖…そんな言葉を放課後に刻み続けていました。
だけど、俺たちはテニスを捨てられなかった。
今だけの我慢だ、それを念頭に苦痛に耐え抜いたんです。
そんな時、アンタが不動峰にやって来ました。
『2年の橘だ。俺より強いと思う奴は前へ出ろ!!』
その言葉にどれほど勇気づけられたかは解らない。
『狙うぞ、全国!』
アンタは俺たちの指導者でなくてはならない人だ。
だが、来年の三月には卒業してしまうんですね。
恐怖?
最近、俺は変です。
そう意識すればするほど体が振るえる。
橘さんの後ろ姿を見ていると、段々胸が痛むんです。
代価…。
あの一年間とは思えないほどの地獄から蜘蛛の糸を伝って這い上がった
俺への報いでしょうか。
一筋の光を手に入れた瞬間に何かを失った。
それはアンタなら解りますか?
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
Trial22「恐怖」は如何だったでしょうか?
今作は内村君のBDにupしました。
今までリョーマ総受けを主張していた私がなぜ、橘内?(これで合っているでしょうか?)
にしたかと申しますと、これも簡単なことで、越前君と絡んだ場面を想像できないからです。
逆に彼の方が、と作業してみれば、「ホ」の字にも気づかない内村君にしてしまいました。
それでは、皆様からのご感想お待ちしております。