街角で、を見かけた。
俺はお前をスパイのように後を着けていくことにした。
街はもう、クリスマスで飾られ、緑やら赤やらが良く目に入ってきては過ぎった。
そんなものには、用は無い。
途中、十メートル以上離れた距離が痛かった。
自分で何度も頭を振っては目の前にいる小さな女の子をこの場で抱きしめたかった。
だが、今は、任務中。
そんな勝手なことは出来ないと、何度も自分の中で念を押して唇を強く噛む。
後何分間である目的地に着くまで取っておこう。
部活が終わると、いつも付き合っている俺らは肩を並べて家に帰るのが
当たり前だった。
なのに、今日に限って用事があるといって今もこうして俺の前で歩いている。
俺は悪戯心からなのか、を六角中から着けている。
着いたのは一見どこにでもあるような家が一軒あった……ぷっ。
いやいや、こんな時にダジャレを思いついても仕方ない。
いつもならお前が笑ってくれるのに、今、俺の隣にいるのは寒い冬将軍だった。
が消えて行った家。
それはお前の家ではなかった。
俺の中にも冬将軍が入り込んでバカみたいに高笑いをしてやがる。
俺が何をしたって言うんだ。
そう何度も自分に言い聞かしても適当な答えも返ってこなかった。
まだ、体中でを愛している。
昨夜付けた印が今朝見たら残っていた。
もし、他の男の所に会いに行っているのならきっと、悔しがるだろう。
明日は、休み。
だから、お前に無理をさせるかもしれないな。
くそっ……をビックリさせるつもりだったのに、結局は俺がビックリさせられた。
「あれっ?どうしてこんな所にヒカルがいるの!」
俺の目から涙が滲み出てこようとすると、さっきから聞きたかった声がした。
俺がその声がした方を見れば、お前が何かの袋を抱えて驚いた顔をしていた。
『おっお前こそ、何で自分家じゃない所にいるんだよ!』
俺はさっきの自分を隠すように怒ってみる。
だが、それは、本心だった。
誰かにを盗られたくない。
こんなことガキっぽくてお前が聞いたら厭きれるだろう。
俺は、そんな自分を見られたくなくて顔を背けた。
『何、怒ってんの?』
怒ってない。
強いてあげるなら、自分自身にだなんてとても言えそうにない。
『あの、ね……ヒカルに渡したいものがあるんだけど、ちょっと
こっち向いてくれない?』
それは、別れの言葉?
ズキズキ痛む心を引きずって振り返ると、胸に抱えていた袋からキレイな
赤いセーターを取り出した。
『誕生日おめでとう!本当は自分の力で作りたかったんだけど、まだマフラーしか
できなくて、それで教室に通って編んでいたんだ。受け取って…くれるかな?』
俺は何を勘違いしていたんだろ。
は俺のために慣れないセーターを教室に通ってまで編んでくれた。
俺はその場でお前を抱きしめて深いキスをした。
『んっ、んんっ』
舌を絡めれば、もう、が欲しくなる。
『ヒカッ…あっ…ああっ』
俺の名を呼べば、もう一人の俺もお前を欲しがる。
『はぁ…あっ、アッ!!』
昂ぶった俺はの声と内壁に甘く締めつけられる。
俺にヤキモチをさせるのは、お前だけ。
だから、悪い虫をに寄せつけないようにそばにいる。
俺に溺れるくらい愛し合ったら、もう、誰も見えない。
愛してる。
体中に刻んだ印が俺らを繋ぐ証となれ。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
11月22日は、天根君の誕生日です。
実は、当日になって慌てて作ったのが、今作です。(爆)
移転していろんなことにも手を出そうとしているので、五日目になったという
のに、相変わらずパタパタとしています。←自業自得
そんなわけで断念した作もあります。(反省)
ちなみに、元ネタは解る方にはご理解頂ける人気男性タレントの歌をハッピーエンド
に持ってきましたv
一昔のものですからあまりご存知ではないかもしれませんね。
それでは、皆様からのご感想を心よりお待ちしております。