Trial24―――苦悩―――

      『今後、死神とは関わらないことを約束しろ』

      あの父親の資格を名乗るほどでもない男に言われた事が眠りに就こうとする

      僕の脳裏に過ぎった。

      尸魂界から戻った僕を待っていたのは、滅却師としての別れだった。

      でも…僕は、後悔はしていない。

      この力のお陰で黒崎の役に立てた。

      あいつが何かをやると決めて、僕がそれに参加しない方が寧ろ、

      苦痛だった。 

      何故なんだろう。

      本当は、最初は、死神のことは恨んでいたし、この世なんて

      どうでも良かった。

      ただ、僕はあんな滅却師を馬鹿にする奴を憎んで逃げ出していた。

      そんな時、僕の目の前に現れたのが黒崎だった。

      以前から感じていたあいつはやはり、死神となって僕の前に現れた。

      それは、揺るぎない事実で対立せねばならない運命なのかもしれない。

      窓を閉めたのにも関わらず聞こえて来る蝉の声を理由にして

      なかなか寝付けない僕は普段着に着
替えて家を飛び出した。

      近づいてくるのは、あいつの家。

      遠ざかるのは、僕が黒崎の傍にいられる資格。

      半端に一人前でいるような顔をして結局は半人前だった。

      そんな自分がこれからもあいつの役に立てるわけがない。

      いや、立ってはならないんだ。

      元々、僕は滅却師で黒崎は死神。

      最初から絡み合ってはならない者同士。

      なのに、僕はそんなあいつを支えられるのは僕だけだと

      思い込んでいた。

      我ながら何故そんなことを考えてしまったのかと、笑ってしまう。

      見上げた夜空には、月はない。

      今日はあいにくの空模様で朝から曇っている。

      明日になればまた夏の覚めきらない日差しが暑く地を照らす。

      それはまるで、今の僕のよう。

      クロサキ医院に辿り着いた僕が見上げた空には、だらしなく窓に

      凭れている黒崎がいた。

      やはり、あいつも眠れなかったらしい。

      この暑さだ、それも仕方あるまい。

      なぁ、黒崎。

      僕が急にお前の前から消えたらどうするんだい?

      そう思うと、苦悩は消えない。

      ♯後書き♯

      Trial24「苦悩」はいかがだったでしょうか?

      BLEACH石田×黒崎BL手紙。

      念願の初BLEACHものがBLで、しかも、手紙ってどうよ。

      石田君のお父上が初登場をしたネタを作業しました。

      黒い柊沢は一目彼を見て「いいわ♪」と思いました。

      あのキツさといい、余裕さといい素敵だなぁと。

      何気なく息子を助けている辺りがかなりGood!って、かなり萌えました。

      主人公を受けにするのは外せない柊沢です。←何の拘り?

      それでは、この辺で失礼しました。