Trial32 ―――道草―――


      のぅ、ブン太。


      あれから随分時間が経つが、まだ痛いか?


      今日も部活を終えて俺はいつもの帰り道に着いていた。

      俺は決まってどこかに道草をしてから帰ることを知ってる家族は、俺が

      どんな遅くても誰も文句も言わん。

      まぁ、言ったら言ったで、もっと遅く帰るだけどな。

      今日は学校のすぐそばの公園のベンチに寝転んで夜空を見上げた。

      俺が見るものにはどれも必ず映るヤツがいる。


      のぅ、ブン太。

      それは、決まってお前だった。

      何がそんなに楽しいのかいつも笑っとる顔や今日のブン太のことを

      思い出している。

      ふっ、俺って変だ。

      そう鼻で笑い続けていた。


      『んっ…アッ!』

      だが、今夜は違った。

      いつも誰もいない場所で、独りでお前を感じて俺自身を絞って土に白濁した

      俺を滲み込ませた。


      『俺っ…俺、仁王のことが好きだっ!!』

      部室を後にしようとした俺に声を掛けてきたのは、ブン太だった。

      俺らはこの公園にやって来た。

      話は、お前がクラスメートの女にコクられたっちゅう相談だったなぁ。

      そんなんブン太の好きにすれば、と冷たく言ったが、内心自分のプライドの

      高さに反吐が出た。

      そんな時だった。

      お前は相談し甲斐のない俺に腹が立ったのか、凄い目つきで睨んだ。

      どしたって何でもない風に笑って見せると、ブン太は泣いたよな。

      俺がおろおろしていると、胸座を掴まれて殴られるのかと思って歯を強く噛んだ。

      唇に感じたのは冷たい夜風に冷え切った俺とは違った感触だった。

      俺はそれが信じられんで、強く伏せていた瞼を開ければ、涙を流しながら俺に

      キスしているお前の顔が映った。


      夢じゃない!?

      俺が思い描いていた欲望が現実になった?!

      唇を離したブン太がコクッたの合図に俺の思考回路はショートした。

      いや、元々俺にはそんなモンはなかったやもしれんな。

      ブン太の制服を乱暴に脱がしに掛かり、啄ばむような口づけを繰り返す度に

      好きだと囁いた。


      『アッ!ん…あっ、あっ』

      最初はぎこちなかったお前も俺がブン太の中に深く入ると、甘い声を出すよう

      になった。

      うっすらと浮かべる涙全て俺が故意的にさせたもの。


      『んっ、あっ』


      固くなったお前自身は俺達の間で足掻いている。

      『ふっ…あっ…』

      感度の良いブン太の声が俺を内壁と一緒に攻めた。

      今日からは冷え切った地面じゃなく熱いお前の中に白い欲望を放てることが

      嬉しくてつい、無理をさせたな。

      何を手に入れても満足することのなかった俺が、欲しいと願ったブン太の

      寝顔をしばらく見た後、背負って家まで送った。


      こんなサービスは今日だけだぜ?

      お前を騙すことはもう、辞めにしよう。

      第一俺自身、この気持ちを偽ることが出来なかったしな。


      のぅ、ブン太。

      明日からはみっちり俺が愛してやるから覚悟しとけよ?



      ♯後書き♯

      皆様、こんにちは。

      Trial32の「道草」は如何だったでしょうか?

      裏BL手紙も皆様に大分受け入れて頂けたのではないでしょうか。

      副業を本業のように更新をしている私ですが、やはり、それが祟ってか

      手首が痛んでいます。(苦笑)

      私事はここまでにしておきまして、仁王君(仁王ブン)は初めてでしたのに

      お題に沿っていましたら、独り致させてしまいました。←お題のせいにするなよ

      と言いましょうか、三作目にして始めて攻め側の作品を仕上げました。

      いつもは私の希望と言うか願望と言うか欲望と言うか…ともかく受け側のこと

      を作業してしまうのです。

      これを機に次回もupしたいと考えています。

      それでは、これにて失礼しました。