Trial36 ―――クリスマス―――
あの…さん。
僕ではあなたに吊り合う存在にはならないでしょうか?
初めてさんに出会ったのは、はばたき学園に入学してから三ヶ月経とうと
する中間試験の前の図書室でした。
僕はガーデニング関係の書物を探していました。
すると、どこからか難しそうな声が聞こえてきて振り返ってみたら、
机の上の教科書を睨みつけるあなたに出会いました。
僕はあなたに相応しい男ではないかもしれません。
ですが、この気持ちだけはさんに届けたい。
こんなのは、僕の自分勝手な欲望なのかもしれません。
でも、僕がどれだけさんが好きか解って欲しい。
心にうそをつけない不器用な僕をあなたはどう見ていてくれるんでしょうか?
あなたに会いたい。
会ってどうしたいって訳でもないのに、そう思わずにはいられないんです。
僕はさんに溺れています。
放課後、あなたと植えたコスモスに水遣りをしていると、さんの可愛らしい声が
聞こえました。
でも、それは僕に掛けられたものではありませんでした。
「ヒムロッチ!一緒に帰りませんか!!」
昇降口から氷室先生の後姿を発見したからでしょうか、あなたの頬が赤みを
帯びているようでした。
さんの声に反応して振り返った氷室先生も夕焼けの所為でしょうか、
照れているように見えました。
僕は氷室先生みたいに背も高くなければ大人でもありません。
そんな僕にあなたは好意を抱いてくれるのでしょうか?
僕には無理だって、いつもなら辛いことを恐れて諦めているのに、今回は
そんなことはしたくない。
もうすぐ、クリスマスです。
一年に一度、誰もが勇気と希望を手にする日。
僕は、さんに告白をしようと思います。
この溢れる想いをあなたに解って欲しいから。
頭の中で言った言葉をイルミネーションの光に乗せて。
さん。
僕は、あなたのことを愛しています。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
Trial36「クリスマス」は如何だったでしょうか?
今作も「ときめきメモリアルGirl's Side」を取り扱ってみました。
本業の方が一息着いたのでこうして作業しているわけなのですが、ようやく
オール3裏Dream手紙から抜け出せました。(ため息)
今回、守村君に出演して頂いたわけですが、季節柄と言いましょうか私の
心が軽めの切な系にさせているのかこのようなものになってしまいました。
それでは、このようなものでも宜しかったら掲示板の方にカキコをどうぞv