Trial37 ―――正月―――


      なぁ、リョーマ。

 

      今日な、アン時の夢を…な。


      毎年、正月は病院関係者が本年の挨拶ゆーて宴会をしてくるのが俺んちの

      風習やった。


      けどな、今年だけはそれを打ち壊すことが起こったんや。

 

      お前なら解るやろ?

      ピンポ〜ン

 

      正月は、部屋で去年買うたDVDを見とった。


      俺ら忍足家の子供はこの正月の風習に関わるんのを禁じられとるんよ。


      だが、このクソ忙しい忍足家に訪問してきおったのは、俺自身の客やった。

      『侑士さん、初詣に行こ…』

 

      アン時のリョーマは可愛えかったで。


      帽子を深く被ったってもだめや、もう、照れ隠しやって解っとるで。

 

      『まぁ!可愛えーわ!!』

 

      俺はそんな自分が可愛えーから抱きしめようとすると、誰かに突き飛ばされた。


      それは言わんとも知れた俺の姉貴や。


      姉上様はダチや部活の仲間でも可愛えーと思うたやつは女装させんと気ぃが

      済まへんのや。


      相変わらず相手の有無を言わせへん早業で、タランチラのように部屋へ連れ込み

      やがったわ。


      俺はため息を吐きながらもリョーマがどんなカッコされてくるんか楽しみやった。


      俺も小さい頃は姉貴の良いおもちゃにされておった。


      けどな、氷帝に入ってからデカくなってな。


      俺はずいぶん前に授業でやった寺の話みたいに用済みになったっちゅうわけや。


      アレから三十分後。


      自分は姉上殿に連れられて出てきおった。


      かっ…可愛えー!!!


      
三年前姉貴が成人式をやった時のピンクの振袖を着たリョーマに思わず動揺し

      てしもうたわ。


      ……
アカンわ。


      
マジで、自分が欲しくなってもうた。


      
それを察したのか忍足家の参謀でもある姉君はこうゆーたんや。

 

      『あれ、洗濯できるんや。アンタがクリーニング代払うゆーんやなら

       ヤってもええで』

      
商談成立や!


      早速俺はリョーマの手を引いて初詣に出かけた。


      時代劇顔負けなメイクを自分にした姉貴に感謝しながら俺らは賽銭箱の前まで来た。


      今年も来年もずっとリョーマと正月を迎えられますよーに。


      俺が神さんの前で頼んだのは、それや。


      なぁ、自分はどんなことを頼んどったんやろ?

      『ふぁ……ぁっ、侑士さっ』

 

      自分の一番敏感な場所を指を二、三本滑り込ませる。


      振袖を嫌らしく肌蹴させると、やっぱええな。


      いつもよかリョーマも感じやすーなっとる。

      『あっ、んっ、んんっ』

 

      俺は自分を抱き起こす形で中へ入った。

      『やっ…あっ、あぁ』

 

      腰を動かすタイミングを速くするのと同時にリョーマが果てたのに気づいた。


      
ふっ、目が覚めれば強気なことを言う唇にキスをする。


      
好きやで。


      
息が乱れているン時のキスで眩暈する感覚も自分の中に俺を放つ瞬間も好きや。


      
目を閉じると、リョーマがいて俺が呼ぶと、自分は決まって笑うんや。



      ♯後書き♯

      Trial37「正月」はいかがだったでしょうか?

      2005年を迎えて初めてのリョ受け相手が忍足君でした。

      今作に登場したピンクの振袖は、何を隠そう私の所有物ですv