Trial41―――リボン―――


         ねぇ、


         君には僕はどう映っているんだろう?


         ただの頭に二葉を生やした変人として見ているのかな?


         僕たちはクラスメートで、ろくに話したことはない。

         けれど、僕には今でも忘れられない想いがあるんだ。

         あれは今から二年前の入学式だった。

         僕は山吹中学校に入ったら絶対テニス部に入るって意気込んでいた時……。


         ふわぁ…

         突然、桜とは違ったものが僕の掌に振ってきた。

         それはテキストプリントのリボンだった。


         『ごめんなさいっ!』

         何でこんなものがと不思議に思った僕にそんな叫びのような黄色い声が

         掛かってきた。

         目の前に現われたのは、僕より少し大きい女の子だった。

         一瞬、先輩かと思ったけど、僕と同じように真新しい制服の匂いで新入生だ

         と解った。

         癖のある髪を胸まで伸ばしているのが、何となく大人っぽくってドキドキした。


         『ごめんなさい、そのリボン私のものなんだけど、返してくれる?』

         そう、とても言いにくそうな目つきをされたらイヤとはいえない。

         そもそも、これは男の僕が持っていても仕方のないものだ。

         掌に降ってきた形のまま差し出すと、君はにこりと笑ってその場で髪を束ねた。

         すると、何分後かに現われたのはどこにでもいる普通の中学生だった。


         『まだ、自己紹介していなかったね。私は、。今日から山吹中の一年生になるの。

          仲良くしてね』

         そう言って、は僕の頭を……正式に言えば二葉を触った。

         可愛いね、と言い残して君はすたこらと去っていった。

         あれからもう早い事に、僕たちは三年生になった。

         僕は、年内に付属の高校に行くことが決まったけど、はどこに行くんだろう。

         あの時のようにリボンが降ってきたら、何かができそうなのに…。

         そんなことばかり考えて僕は空を見上げている。



         ♯後書き♯

         皆様、こんにちは。

         Trial41「リボン」にお答えしましたが、如何なものだったでしょうか?

         またまた、あまり皆様が取り扱わないであろうキャラを作業してみました。

         ↑こんなことを言っては彼に失礼ですね。(苦笑)

         まだ告白もしていない淡い恋心を綴ってみました。

         青春ですね。←話題から逃げてる(爆)

         まぁ、こんな爽やかな恋愛もたまには良いかなと、軽い気持ちで作業しました。

         それでは、皆様のご感想を心よりお待ちしております。