Trial44―――悪魔―――
なぁ、グリード。
お前は知っていたんだな。
俺がグリードのことを好きになるって。
お前はいつもさびしそうに笑うのがずっと気になって忘れようにも忘れられなかった。
いつかどこかであったような眼差しにその時、射竦められたのかもしれない。
「なぁ、エド…」
そんな声で呼ぶなよ。
そんな声を出されると、何もできなくなっちまうじゃねぇか。
でも、それで良かったんだ。
グリードなら頭が働かなくても体が自然とお前を求めちまう。
気がつけば、俺の飛び立つ羽は折れていた。
なぁ、お前になら雁字搦めにされても良い。
その分俺もグリードを離さないからな。
いつか俺が調べものしてた時、お前はいつものように突然現れた。
「なぁ、エド。いつになったら俺にコクるんだ?」
そう言ってお前は不意打ち過ぎるキスをしてきた。
両手首を強い力で掴まれている所為で、まるで襲われている感じがしたぜ。
グリードは俺をずっと前から知っていた。
こうして恋に落ちることも解っていた。
それってまた不意打ちじゃんかって言うと、お前はまたいつものような嫌味ったらしく笑って「じゃあ、もっとしてヤローか」って俺をその場に押し倒した。
「何すんだよっ…盛り過ぎだろうが、この展開は!」
「別に良いじゃねぇかよ。減るもんじゃあるまいし。それに俺が見た俺達だってこうしてたぜ」
……嘘だ。
俺が今更になって暴れてもやっぱ遅くて身動きが取れなかった。
「あっ、忘れる所だったぜ」
俺が半ば覚悟を決めていると、上着に手を掛けていたグリードは急に何かを思い出したかのように言った。
「愛してるぜ…この俺に優しされるのを光栄と思え」
「結局するんですか!この悪魔」
自分で言った後、はっと気づいた時は、もう、お前に上半身を淫らにも肌蹴されていた。
俺はホムンクルスのことを悪魔って言っちまったことをグリードに抱かれながら後悔をしていた。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
Trial44「悪魔」はいかがだったでしょうか?
バレンタイン企画にグリエド手紙を作成致しました。
グリード×エドは余りupしようとする方は居ないのではないでしょうか?
このお題は絶対ホムンクルスのことを悪魔って呼ばせてみたいと温めていたものです。
彼が暴走したところで失礼しました。