Trial47 ―――お姫様―――

      そういえば、


      君は覚えてる?


      ほら、僕らが小さい頃良くやった遊び。


      はいつもお姫様ごっこが良いって僕たちを困らせたね。

      勿論、ほかの遊びもたくさんやった。

      だけど、僕は何故かあの遊びを今も良く覚えているんだ。


      こんな魂と鎧だけの体になった所為かな?


      みんなが寝静まった夜。

      僕は独り昔を懐かしんでいる。

      兄さんとケンカしたことやウィンリーにせがまれて部品を錬成した時を走馬灯の

      ように思い出す。

      でも、君の事は一度だってその中に入れたことがないんだ。

      思い出なんかにしたくない。

      その気持ちが強すぎていつもボーっとしていると、のことを考えているんだ。

      君がお姫様の時、僕はいつも守り役の錬金術師になる。

 

 


      あの時は兄さんに気を遣わせちゃったなぁ。


      ふふっ、知ってた?


      僕はずっと前からのことが好きだったんだよ?

      君がそばで笑うから、僕も楽しいんだ。


      が悲しんでいると、僕も泣くんだ。

      きっと、好きって気持ちはこんなことから始まるんだと僕は思う。

      ねぇ、

      あれから君はどうしているんだろう。

      村にはまだ戻れない僕たち兄弟は、国家錬金術師になった。

      本当は兄さんだけだけど、何か僕も一緒にいると目立っちゃって

      「エルリック兄弟」ってみんなに噂されちゃうようになったんだ。

      だから、もう、の耳に届いているのかもしれないね。

      でも、この僕の想いには気づいてないだろうなぁ。

      君って、鈍感だから。

      だけど、この届かない手紙でなら言える。


      は僕だけのお姫様だよ。



 

 

 

      ♯後書き♯

      皆様、こんにちは。

      第七弾Trial43「お姫様」に挑戦してみました。

      「うさ耳」をupしてから九日目でようやく健全作アルDream手紙を書きました。

      欲望の赴くままに作業していましたら今更になって裏モノが多いことに気づいて

      やっと健全作をupすることに成功したわけです。(疲)

      今作は「返事のない手紙」と比べて明るい方に行ったと思いますが、どうでしょうか?

      それでは、皆様のご感想を楽しみにしています。