Trial7 ―――雪―――


      神子殿。


      今年に入って何回目でしょうか?

      今宵もまた雪が降り出しています。

      あなたがこの京をお去りになってから私は空蝉です。

      神子殿がいないだけで私はどうして良いのか解りません。

      情けないことです。

      あなたは天真や詩紋と共に元の世界にお帰りになられた。

      それは心から喜ばねばならないことなのに、私はそれができません。


      「お前が好きだっ!」

      あの時、何故言えなかったのだろう。

      天真はいい奴だ。

      あいつなら、神子殿を幸せにすることができるだろう。

      そんな臆病とも物怖じとも判らない感情が私を押しとどめた。

      こんな自分勝手なことを申すことはできない。

      アレからもうすぐ一月が過ぎようとしています。

      私の気持ちだけを通り過ぎていく時間が、時には憎く、時には

      寂しく思えてしまうのは私だけでしょう。


      あなたの世界にもこの雪は降っているでしょうか?

      今年最初のこの雪はせめてもの私の強がりです。

      手に触れると冷たい雫へと変わる。

      武士である身、私は滅多なことでは泣いてはいけない。

      それは、ほかの方も同じでしょう。

      ですが、神子殿。

      それはすべてあなたの前ではそうはいられないのですね。

      神子殿は何も言わずに傍にいて下さる。

      それだけで、私は救われた気持ちになるのです。

      あなたは不思議な方です。

      それ故に神子殿にお伝えできなかった自分の愚かさが胸を締め付ける。


      殿……。

      せめて…せめて、心の中でも申すことをお許し下さい。

      あなたを誰よりもお慕いしております。

      今も……あの留められた時間よりも…



      ♯後書き♯

      Trial7「雪」は、いかがだったでしょうか?

      今作は、「遥かなる時空の中で」の頼久さんを作業したわけですが、

      私はこのゲームをクリアしたこともなければ購入もしていません。

      ほとんど「遥かなる時空の中で〜八葉抄〜」に任せました。←おい

      それでは、長々と失礼しました。