越前…。

 

      お前には、解って欲しかった。


      俺が何故、あの時、越前の頬を叩いてしまったかを。


      あれから俺は、あんなことをしてしまったことに後悔はしていない。


      だが、罪悪感はさすがにある。


      その……俺にとって特別なお前に手を上げてしまったことが、

      今も悩んでいる。

 

      なぁ、越前。

 

      お前は俺のことをどう思っているだろうか?

 

      ただの部長と後輩の仲だろうか?

 

      越前がそれでいいというのであれば、俺の想いはそれまでだ。


      しかし、あの件があって俺はお前に嫌われてしまったのではと考えると

      冷静ではいられなくなる。


      一瞬、触れた柔らかい頬。


      それを頑なに叩いてしまった俺。


      越前の瞳には、悲しみが漂っていた。


      俺は、お前を選抜メンバーに選べなかった。


      選ぼうとしたが、越前の情熱がもう、燃焼し尽くしたかのごとく冷ややかな

      ものを感じた。


      俺はそれを振り払う気持ちも込めて手を上げた。


      結果的には、お前は真剣な眼差しで俺の家まで来たな。


      俺はそんな越前を見ていると、とても嬉しく思う反面、愛しさが過ぎった。


      あんなことをしてしまったのに、お前は俺の前にいる。


      そんな当たり前なことでさえ、俺には嬉しかった。

 

      なぁ、越前。

 

      いつまでもそのお前の中にあるサムライを燃やし続けろ。


      俺が初めてお前と試合をしたように。


      そして、それ以上に…。

 



      ♯後書き♯

      皆様、こんにちは。

      この手紙を早朝に作業した柊沢です。

      この作品を作業している時期が真夏なので、寝苦しいついでにこうして

      
PC
に向かっているわけです。(汗)

      初のBL手紙第一弾の塚リョ手紙はどうだったでしょうか?

      それでは、ご感想の方をお待ちしております。