Trial28―――美しいもの―――

      ねぇ、君。

      知ってる?

      僕は君のすべてが愛おしいんだ。

      君と初めて出会った優美な香が漂う黄昏時。

      そこで運命の出会いが始まったんだね。

      君と言う芸術に出会うために僕は生まれてきた。

      その笑顔も声も言葉もどれもが僕の心に染みる。


      それはミューズの嫉妬?

      それとも神が与えた僕への試練?

      ううん、そんなのはどうだって良い。

      僕らは出会うべき宿命にあったんだ。

      もしかしたら、美の女神が嫉妬してしまったのかもしれないね、君に。

      だって、この三原色と言う芸術を夢中にさせてるんだから。

      僕は美しいものがこんなにも愛おしい。

      勿論、君はそのトップを飾るほど僕を狂わしている。

      ねぇ、君。

      あの教会で僕らに降り注いだ至高の瞬間を見たかい?

      様々な神々達が僕らを祝福してくれたあの輝きを。

      君が傍にいて笑ってくれるだけで僕は幸せになれる。


      ねぇ、君にはこの僕の気持ちが解るよね?

      美しいもの。

      それは君が僕に感じさせることが出来る芸術。

      どんなに美しい絵画や宝石達も君。

      君には眩んでしまうから。

      そして、僕はその世界中探したって一つしかない美しいものを手に入れた。

      だから、

      お願いだから僕の隣で笑っていておくれ。

      いつも僕達に神々の祝福が舞い降りているのだから。



      ♯後書き♯

      Trial28「美しいもの」はいかがだったでしょうか?

      今作はちょっと…と言いましょうか、かなり恥ずかしかったです。

      何がと仰られますと、三原君の言葉遣いです!

      彼の言うことは傍から見れば、意味不明なのですが、よく考えればすべて的を射た

      行動なんですよね。