コンサートまであと3日
3人の練習が始まった。
ふたりのコンサートは学園の講堂で上演のため、
セレクション準備の合間にコンサートのリハーサルをして、
空いた時間で火村の練習に付き合っていた。
「蓮」
「どうした?」
「…頑張らなきゃね。ここから始まるんだ…。」
芸大を卒業し、互いに音楽で生きていくと決めたふたり。
このコンサートはまさにその第1歩。
「そうだな。…本当ならこんな時に人の心配してる場合じゃないんだろうな」
「絶対成功させるよ!コンサートも、火村くんとのステージもね」
コンサートまであと2日
「楽譜練習はばっちりみたいね」
リハーサルの前にふたりの控え室を訪れた優樹は早速解釈に取りかかることになった。
「俺…今まで明るい曲ばかり弾いてたんです。
こういった曲はどう表現したらいいか…」
「俺はワルツは哀愁ある弾き方を好む。
『感傷的なワルツ』にもふさわしいと思う」
「あとはそれに、優樹くんが伝えたい気持ちをプラスしたらいいんじゃないかな。」
「俺の、伝えたい気持ち…」
「月森さん!さん!お願いしまーす」
外からスタッフの声が聞こえ、蓮とはヴァイオリンを手に取った。
「あっ…今行きます!それじゃ火村くん、頑張って!」
「はいっ」
「…」
「なに?」
リハーサルの合間、蓮がに呟いた。
「彼に会って…俺たちもまた、「音楽」を振り返ることができたと思う。
の音が一層、澄んで聴こえる」
「そうだね。蓮の音も柔らかくなったよ。
あたし達も、みんなに伝えたいことをしっかり楽曲に込めないとね」
コンサートまであと1日
「こんにちは!」
短期間で集中して猛練習した優樹の顎は少し赤くなっていた。
「いっぱい練習したんだね」
「はい。でも、自分が伝えたいことを音にこめようとするの…すごく楽しくて。
つい、夢中になっちゃったんです。
ただ楽しく弾くだけじゃない、新しい音楽の取り組み方がわかった気がします」
「それじゃ、俺なりの解釈なんですが…聴いてください」
優樹の『感傷的なワルツ』は、
玲の音楽に対する繊細さ…そして優樹の玲に対する想い…届かない、もの悲しさを表現していた。
「…うん、素敵!」
「そ、そうですか…?」
「技術はまだまだだが、いい解釈だと思う。」
「きっと伝わるよ、火村くん。あたし達も、頑張るから!
よっし、それじゃ3人で最後、リハしとこうっ」
「いよいよ…明日だな。」
最終リハーサルも終わり、蓮とは屋上にいた。
「…コンクールかぁ。リリたち、元気かな…」
「明日はファータたちも来てくれるだろう」
「うん、そうだよね!」
「あたし、ほんっと、信じられない。
こうして、蓮とヴァイオリンを弾き続けてるなんて。」
7年前。
たったひとりの小さな妖精に出会ったことで、の人生は思いもしなかった方へ向かっている。
「だが俺は、…」
蓮は言いかけて、口をつぐんだ。
「なに?」
「いや。何でもない」
「気になるじゃんっ」
「…明日。終わったら、また屋上、来ないか」
「うん、いいけど…?」
いよいよ、
蓮と、ふたりのはじめてのコンサートの日が訪れようとしていた…。
†柊沢のありがたくもない感謝状†
れゆ、五連続参加ありがとう〜v
どうなるファーストステージですね。
月森君が言おうとしたことも気になる〜っ!
リリかぁ・・・。(ため息)
あ〜、ホント、久々にコルダやりたくなっちゃいますよぉ。
そして、いよいよ次号はコンサート本番です。
火村君の想いは月森君の言いかけたこととは。
それでは、次回も宜しくお願いしますね。