なぁ、。
俺はいくら容保様からの推薦だからと言って認めていなかった。
剣術は一通り出来たところで所詮はうら若き女。
だから、すぐ根を上げたり秩序を乱す……そう思っていたんだ。
だが、は粘り強く仲間が次第に姿を消していっても何も言わず俺に付いて来た。
なぁ、お前はいつか見たあの夜桜を覚えているか?
すべてが闇の中に消えてしまってもアレだけは月の光を受けて輝いていた。
その美しさに俺は句を作ることを忘れて見入っていた。
『キレイ…』
そんな声がして辺りを探すと、口元を両手で覆うと目が合った。
『はぁ…あ…』
アレから何年経っただろうか。
俺達は明日には敵陣に突っ込む覚悟のため、互いを愛した。
今から思えば、俺達は真面目過ぎたのかもしれない。
互いに想い合っていたのにも関わらず、接吻をしたのだって今宵が初めてだった。
昔の俺だったら、とおの昔に手を付けていたのに、今は勝手がまるで違う。
唇を開かせ、舌を滑り込ませると、次第に漏れてくる誘惑の調べ。
肩から夜着を肌蹴させれば、白い肌が赤く火照っていて美しかったことを覚えている。
これが俺のものなのかと思うと、愛しかったが逆に後悔の念に苛まれた。
ずっと素直になれなかった俺を許してくれ。
『ひゃっ…ああっ』
股に唇を寄せると、そのまま溢れ出してくる蜜壷に俺を沈める。
お前は一瞬、驚いた顔をしたかと思えば、歪ませ腰を抱く俺を欲しがった。
重なる吐息が愛しい。
をイかせるのも乱れさせるのも俺だけだ。
俺の名を呼ぶお前に接吻をしてから俺は愛する女の名を初めて口にした。
今だけは……この狂いそうなこの瞬間だけは俺の女である証を伝えたかった。
何度も貫いて抜いてを繰り返すたび俺の我慢は頂点を越えた。
欲望をお前の中に放った後、俺は後悔をした。
今、俺の胸の中で眠る女に俺の子を産ますことができない。
女ならば誰でも望むことを俺はしてやれない。
は俺の心に咲くあの日の夜桜。
終わりを迎える明日のために何もかも捨てたはずなのに、お前を愛しいと思う欲だけは
棄てられない。
『歳…三さん……』
寝言だろうか。
俺の胸に頬をすり寄せるは微笑んでいる。
もしかしたら、夢の中で俺達は夫婦になっているかもしれないな。
なぁ、あの世に逝ったら祝言を挙げよう。
先に待っている近藤さんや新選組の皆の元で。
♯後書き♯
Trial41「夜桜」はいかがだったでしょうか?
今作は五作目にしてようやく裏設定にすることが出来た「幕末恋華 新選組」の土方裏Dream手紙です。
あの終わり方も泣けましたね。
男の生き様と言いましょうか、誠の心意気を貫いたEDにそれしか出来なかったのだろうかと泣ける
半分考えていました。
いえいえ、歴史上を意識したEDは古より伝わる日本の美ですから、不審を感じたわけではありません。
ただ、その終わり方で本当に二人は幸せだったんだろうか、とゲームEDファンに悪いことをひたすら考
えている管理人です。(土下座)
もし、そう言う方々が今作品を誤ってご覧になられた場合はそう言う奴もいるんだと寛大なお心で目
を瞑ってやって下さい。(深々)
勿論、あらしも苦情も受け付けませんv(黒柊沢)
それでは、長々と失礼致しました。