芸術の秋、食欲の秋、運動の秋…、などと言われる季節・秋。しかし…。

          「ぐぁ〜〜、ぐぉ〜〜…」

          この人物…氷帝三年、芥川慈郎にとってはやはり睡眠の秋なのであろうか…?



          睡眠の秋?


          「ジローの奴、またいねぇ…」

           氷帝の男子テニス部。部活開始時間であるというのに、芥川の姿が見えない。いつものことである
           が…。そこで跡部は、樺地に探しに行くよう言おうとしたその時…。

          「ハイハイ!わたしが行く!」

          コートの外で、一人の少女が手を上げた。

          「……」
          「そう。通りすがりのです。跡部サマがお困りのご様子だったので、助けて差し上げ
          ようかと」
          「…ジローと話したいだけだろ…」
          「バレたか…。とにかく、このわたしにお任せあれ!行ってきます!」

          そう言うと、は猛スピードで芥川を探しに行った。

             ☆

          (ここにはいない…。ということは、向こうかな?)

           と芥川は同じクラスで、仲が良い。そのため、芥川の居場所はほぼ見当がついた。

          (いた!)

          木の下でぐっすりと眠っている芥川を発見。すぐに声をかける。

          「慈郎ちゃーん!起きて!跡部サマがご立腹です!」

          かなり大きな声で呼んだのだが…、起きない。

          (駄目だこりゃ…。まったく…睡眠とテニス、一体どっちが好きなんだろ…)

          そんな事を考えながら、芥川の隣に腰をおろす。ひらり、と落ち葉が芥川の髪の上に落ちる。それを
          そっと払いのけてやる。

          (わたしは…?)

          「…眼中ナシ…か」
          「何が?」

          ・・・・・・。

          「うわぁぁぁっ!!?」

          ぐっすり眠っていたはずの芥川が、パッチリ目を開いて言ったので、はぶっ飛んだ。

          「そんなにびっくりしなくても…」
          「い、い、いつから起きてたの!?」
          「んー?が俺の髪に触れた時」

          (あんなに叫んでも起きなかったくせに…!)

          「そ、そう…。とにかく、部活もう始まってるから、はやく行かなきゃ!」

          そう言い、はやくはやくと促すが、芥川は立ち上がったものの、それ以上動こうとはしない。

          「…さっき『眼中ナシ』とか何とか、何の話してた?」
          「あー…。その…。慈郎ちゃんは睡眠とテニス以外、眼中にないのかなーと思って」

          などと、少し誤魔化しては答えた。すると芥川は少し間をあけてから、こう言った。

          「…俺がテニスをするのは、が見に来て応援してくれるから。俺がよく寝るのは、時々
          が起こしに来てくれるから」
          「…え?あの、それは…」
          「…わかってる。がテニス部を応援するのは跡部がいるからで、俺を起こしに来てくれるの
          も跡部に頼まれたからだろうけど…、でも俺はっ…」
          「ちょっと待って。何故そーなる?」

          しばらく二人とも、キョトンとする。

          「え?って跡部のこと好きなんじゃ…?」
          「どこをどーしたらそうなる!?」
          「だって、跡部と話してる時楽しそうだC…。」

          (まさか、慈郎ちゃんに誤解されてたとは…)

          「違う違うっ!そりゃ、跡部サマとも仲良いけど…っ。わたしはずっと慈郎ちゃんしか見てなかっ
          たっ!!」

          言い終えて、ハッとする。

          (…ひょっとしてわたし、告白しちまいました…?)

          一方の芥川はというと…。目を輝かせ、完全に覚醒モードであった。

          「マジマジ!?それって俺達両想いってことだよなっ?」
          「えーっと…。少なくとも、わたしは慈郎ちゃんが好きだけど…」


          ガバッ!


          「すっげーウレC!俺も好き!愛してるっ!」
          「あい…(汗)。と、とにかく…抱きつかないでーっ!」
          「何でも言ってみるもんだな!やっぱ恋の秋?」
          「いや、恋はどちらかっていうと、春のイメージが…」

          こうしているうちにが芥川を探しに来てから、かなりの時間がたっていた。本来なら怒られる
          ところだが、妙に機嫌の良い芥川を見て、何があったか大体の想像がついた跡部は、「よかったじゃ
          ねーか」とだけ言ったとか。

           まぁ、何はともあれ、と芥川慈郎。この二人ならば、この先訪れる寒い季節も暖かく
           過ごすことができそうだ…。

          〜FIN.〜

 



          †柊沢のありがたくもない感謝状†

          初登場ありがとうございます!(祝)

          私はれなさんのようにギャグ創作が出来ないので、本当に羨ましく思っています。

          いえ・・・・・・、柊沢は親父ギャグでも笑ってしまうので、皆様に楽しんで頂けるものを書く自信が
 
          ないだけです。←待て
 
          それに周囲から「ミステリアスなお方」と呼ばれている私には縁も縁もないでしょう。(笑)

          これから寒くなる一方ですが、二人はどうやら乗り切れそうで、良かったですねv

          それでは、次回もどうぞ宜しくお願いします。