あした、朝目覚めたら…





         今日もいつも通りの朝がやってきた。


         ―筈、だった。

         いつも通り、携帯のアラームよりちょっとだけ早く起きたあたしは、ふと、手に何か触れたのに
         気づいた。

         「――――…?!」

         あまりの驚きに、あたしは声が出なかった。


         ―あたしの隣に、知らない人が、眠っていた。



         Q;あなたならどうする?!

         a;とりあえず寝る
         b;逃亡する

         c;コトがなかったかどうか、確かめる!!



         あたしはそっと、隣を見つめた。

         ―やだっ、超美少年じゃんッ
         …ってか年下?わー、肌綺麗…

         ――じゃなくてッ!!
         少年が眠っているのを確認して、彼に覆い被さっているシーツをそっと捲った。

         …わっ

         彼は程良く筋肉の付いた、引き締まった上半身をさらけ出していた。

         ―う、嘘…

         さらに捲る勇気はなく、あたしが固まっていると、ふと気づいた。

         あたし、パジャマ着てるじゃん。

         それもご丁寧に、大学生にもなってキキララのパジャマだった。

         ―恥ずッ!!
         ってゆーか、何でこんなコトになってるんだろう。

         だってあたしには知行が…
         …あ。

         何か思い出せそ…
         「イタッ」

         頭に激痛が走り、あたしはベッドに突っ伏した。

         「そりゃ起きれねェだろ、あんだけ飲んでりゃ」


         あたしの隣の彼が、目覚めてしまった。

         「わっ あ、 起こしちゃった…ね?」
         「お前が起きる15分前には起きてたぜ?」
         「嘘っ」
         「ソレ着せてやったのも俺だし」
         「―――!!」

         「嘘だよ、誰がそんなガキくせェモン着せんだよ」
         「ガキくせェって…自分だってまだ高校生のくせに…っ」
         「中3だっつったろ」
         「ゲッ」

         あたし、犯罪者―――?!
         「き、昨日は…?」
         あたしは恐る恐る少年に訊ねた。
         「――本当、激しいな、お前」
         「ええっ?!」
         「――酔ったら。」
         酔ったら―…?

         「ったく、お前大丈夫か?昨日散々飲んで泣き喚いて潰れたんじゃねぇか」

         ―…何となーく。覚えてる、様な気もするけど…

         思い出そうとすると、頭がまたズキズキ痛む。
         「とりあえず大学休めよ」
         「あ、うん、そーする…」

         あたしがベッドに横になっていると、着替えた少年がやって来た。
         「ったく、冷蔵庫に何も入ってねぇよ。ちょっとそこのコンビニ行ってくるから着替えとけよ。話は
         それからだ」


         10分後、帰ってきた少年は、2人分の朝食を作ってくれた。

         「食えよ」
         「ありがとう…」
         あたしは焼きたてのトーストをかじった。

         「―あ、ねぇ、あなたの名前」
         「覚えてねーのかよ」
         「え?!…じゃあ、あたしの名前覚えてる?」
         「
         「…」
         「俺は跡部景吾だ」

         ―けいごくん…

         「何か思い出したか」
         「―うん」


         昨日、あたしは、…彼氏の浮気現場を目撃したんだ。
         …あろう事か、ラブホに入っていく姿を。

         信じられなくて、悔しくて、立ち尽くしてたあたしに、景吾くんが声を掛けてきた。
         んであたしは自棄になって、彼を連れ回して―今に至る。

         「ごめん、あたし、潰れたんだ」
         「で、俺がここまで運んでやって、帰ろうとしたらお前がしがみ付いてきた。『帰らないで』って。」
         ―そ、そんなこと言っちゃったのね、あたし…
         「誘ってんのかと思ったら、シャワー浴びてとっとと寝やがるし」
         あ、じゃあ一応、何もなかったのね…

         「―でも景吾くん、ずっと付き合ってくれたでしょ。…帰らないで居てくれたし。…どうして?」

         そう問いかけた瞬間、インターフォンが鳴った。

         「出ろよ」
         「う、うん」

         「―もしもし」
         『?俺だけど』
         「知行…」

         「おい」
         景吾くんがあたしに声を掛けた。
         「例の浮気男か?!」
         あたしはゆっくり頷いた。

         「―行くぞ」

         えっ?

         景吾くんはあたしの腕を掴んで乱暴にドアを開けた。

         「――どういう事だよ…?」

         びっくりしてる知行に、景吾くんは言い放った。

         「てめェなんかにコイツはやれねぇ。は俺の女だ。解ったらとっとと帰れ」

         景吾くんはあたしの方をぐいと抱き寄せて、呟いた。
         「お前も言ってやれよ」

         「―…せいぜい昨日のコと仲良くやってよね!!」

         そういって、ドアを思いっきり締めてやった。

         やった。
         やっちゃった。

         心臓がバクバクいってる。

         それは知行にあんなこと言ってやったからなんかじゃない。

         「やるじゃん」
         景吾くんがあたしの髪を撫でてくれた。

         「―…ねぇ、景吾くん」
         「あん?」
         「―さっき言ったこと、本気にしていい?」

            『は俺の女だ』

         「文句はねーな?」

         景吾くんはそういって、あたしにキスをくれた。

         「今日は勝手に寝るんじゃねーぞ」
         「…はーいっ」

         ―――――――願わくは、どうかいつまでも、あなたの隣で朝を迎えられますように…

         Fin.



         †柊沢のありがたくもない感謝状†

         三回連続で『Streke a vein』に出場して下さり誠にありがとうございます。

         それに、改めて三連覇おめでとうございます!

         私はランキングをつけて他の方との差をつけているというわけではありませんが、れゆは

         毎回最初に投稿してくれるので、心配性の柊沢はとても助かっていますv

         そして、今作は、跡部君を作業してくれましたよ〜vv

         毎回大人の雰囲気が素敵で、編集に当たっている私も楽しみにしています♪

         しかも、続編があったら裏Dream小説直行っ!←何を萌えてる(笑)

         彼に『は俺の女だ』宣言だけでもクラッと来たお方もいらっしゃるかと思います。

         それでは次回も宜しくお願いします。