なぁ、...
俺がお前に手紙を書くなんて笑っちまうだろ?
ばっちゃん達に口をすっぱくされても書こうとしない俺が今、にそれも
ラブレターなんざ綴っているなんてさ。
あぁ...こんなことを書く日が来るなら大佐を見習っておくんだった!
って、あの人の場合、複数の女といちゃついているから見習いたくもない。
俺は・だけが好きだから...。
......かぁぁぁぁ、我ながらこんなハズイ事よく書けるよなぁ。
俺自身がもう一人いたらぜってぇ、クリティカルヒットで踵落としして
やりてぇ。
でも、これはお前に届くことない手紙。
俺が単なるに会えない気持ちを書き込むことで晴らしているみっともねぇ
物だから絶対出せねぇ。
それでも、お前に逢いたがっている俺がいる。
リゼンブールに行く列車を見れば何度もへの想いを見送った。
俺とアルの故郷であるあの場所で、親同士が友人である俺達は自然に
遊ぶようになった。
俺達は母さんの次にお前の笑顔が大好きだった。
だが、それは突然やってくることになった。
この村の長だったのおっちゃんは、正義感の強い人で、イシュヴァールの
内乱で狩り出された人材の中に自ら飛び込んだ。
出発の日も意気揚々と言った感じで、誰も彼が死人として帰ってくると
は思わなかった。
残されたお前とおばさんはあの日から滅多に笑わなくなった。
見れたとしてそれは悲しみに溢れていた。
だから、俺達は...いや、俺はを元の笑顔が似合ったあの頃に戻してやりたくて
国家錬金術師になった。
そうすれば、元のように優しく微笑むお前に会えると信じて疑わなかった。
だが、それは間違いだった。
アルは肉体を俺は右手と左足を失った。
母さんやまでもか、俺は大事な弟まで失くそうとしていた。
これは俺が追った罪でもある。
それなのに、こうしてアルを連れまわしている。
なぁ......もし、この世に神がいるとしたらせめて俺から何も奪おうと
しないで俺自身を殺してくれよ。
錬金術師が神の存在を手紙としても認めているなんて反吐が出ちまうが、
これは俺の真実なのかもしれない。
リゼンブールを旅立つ日、駅のフォームに急いで走ってきたお前は、俺達が
小さい時に何度か見た涙を流していた。
『エドっ!アルっ!』
『っ!!』
『来てくれたんだ...』
車窓から乗り出すような体制の俺を抑える鋼の弟。
そして、自らも鋼になってしまった。
それなのに、誰にも聞いたわけでもないのに、一目見ただけで俺達の身に何が
起こったのか解る様に、声を上げて泣いていた。
父親がこの世を去ったあの日、ばっさりと短く切った小さい頃から伸ば
していた黒い髪は、今は両肩に点しかかろうとしている。
『本当に行くの?ううん、二人は一度言ったら聞かないもんね。だから、
私...無事を祈ってる。だけど、......もし、ここに帰ってくることがあった
ら、私、昔みたいに笑えるように頑張るから......だから』
その先を言おうとしてお前は何かを飲み込んで唇を強く噛んだ。
俺はその仕草が堪らなくなって思わずアルに体を支えてもらったまま、
にキスをした。
唇に触れるだけの口づけだったけど、泣きじゃくってたお前をどうにかさせる
くらいの効果はあったみたいで、それを放すと一滴が流れただけで瞳からは
再び流れることはなかった。
『エド...』
『待ってて......くれるか?俺達がリゼンブールに帰ってくるのを...』
俺が真剣な顔をしてを見ていると、お前は答える代わりに、いつかの
ように満面の笑みを浮かべた。
だから、神様。
さっきのことは聞かなかったことにしてくれ。
俺は弟のために、俺のために、そしてのために意地でも生き抜いてやる。
だから、神様。
俺を一人の女のために生かせてくれよ。
#後書き#
いやぁぁぁぁぁ!!!!!(絶叫)
ほとんど、ショートショートのSIDE小説に成り下がってしまいました。
台詞を一般の手紙に書き込むはずはないんですっ!
ですから、台詞部分はエドの回想部分と考慮して下さると助かります。
しかし(立ち直り早いし)、手紙でキスにまで発展したのは、今回の
作品で最初ですね〜。
もしかしたら、近々、性的表現入りの手紙が出来てしまうのかもしれま
せんね。(笑)
それでは、次回も駄作でしょうが、どうぞ宜しくお願い致します。