親愛なるへ
今日はお前に会いたくてたまらない気分でこの手紙を書いている。
俺は無力だ。
無力でちっぽけな人間だ。
国家錬金術師と言えど、やっぱり、人間なんだなと今、痛いほど感じている。
この間、軍の大佐から聞かされたことが今も信じきれずにいる。
なぁ、お前はこんな俺をどう思う?
俺は、一人の人間さえろくに守れなかった。
最低な国家錬金術師だろ?
「すべての民のためにあれ」なんてはなっから守れない。
そんな俺をは軽蔑するだろうな。
もし、この手紙をお前に送ったとしても破り捨てられるのがオチかもしれない。
いや、本当はこんな弱い俺をお前に知られていることを怖がっているのかも
しれない。
ひょっとしたら、大事なさえも...。
これ以上は、とても怖くて文字にすることはできない。
なぁ...。
お前は、元気にしているか?
今でもと別れた時の交わした唇の感触を今も覚えている。
いや、正確に言えば、忘れたことは無い。
あれは、俺の精一杯の感情だった。
昔聞いたお前の歌をもう一度、聴きたい。
その時のは決まって、笑っていたから...。
「愛している」なんて照れくさくて伝えられなかった。
だけど、今なら...この返事がない手紙には書くことができる。
でも、俺は不器用だから笑わないでくれ。
俺はお前のことを世界中の誰よりも愛している。
もし、元の姿に戻ったら俺と結婚してくれ。
今もまだ、が笑うことができないのなら、俺が戻してやる。
だから、昔のようにそしてそれ以上に、微笑んでくれ。
その瞳の中に俺だけを宿して。
遠い記憶に耳を澄ませると、聞こえてくるのはお前の声。
なぁ、?
お前にはたくさんいろんなものをもらったよな?
優しい気持ち、悲しい気持ち、そして......愛しい気持ち。
俺たちは喧嘩をしながらも自然と惹かれ合っていた。
なぁ、?
お前はこの青い空の下で今何をしているんだ?
真っ白なシーツを干しているのか?
それとも掃除をしているのか?
そう言えば、俺たちが想いを告げ合ったのもそんな生活の中だっけな。
俺が空を何も考えずにただボーっと見ていると、急にお前が出てきてびっくり
したから良く覚えている。
だけど、そんなことなんか気にしない様子で、俺に言ったな。
『空を飛ぶ羽が欲しい?』って。
その時、俺は何にも考えずに、『が欲しい』って言ったよな。
その言葉を吐いてしまった俺自身も目の前にいるお前同様に体中に熱いものが
走った。
俺が言い訳を考え付く前に、『私もエドが欲しい』って言ってくれたよな。
あの時は嬉しくて思わず、お前を抱きしめて買い物籠の中のワインを地面に叩きつけ
て割っちゃったよな。
俺たちは顔を見合わせて、笑った。
そして、どちらからともなく唇を合わせた。
なぁ、?
俺はあれを禁忌の味とは思っていない。
だから、また、お前と唇を交わせる日が来ると信じている。
ははっ...、錬金術師が「信じる」なんて使うのは可笑しいか?
だが、俺は、に誓う。
俺は必ず戻ってくる。
#後書き#
エドレターの第一弾を書いてから大分お待たせ致しました。
第二弾は、前回と違って名前変換を一回だけにして見ました。
やはり、最初は氏名を名乗った方が宜しいのではということで、『鋼の錬金術
師』部屋の最初の作品である彼には氏名から愛称まで名乗って頂きました。
その際にご迷惑をお掛けしまして、申し訳ありません。
この場を借りまして、二作目以降からは愛称とさせて頂きますことをお伝え致
します。
しかし、不束者の柊沢は又、未成年にプロポーズをさせてしまいました。
この手の関係が苦手の方はどうも申し訳ありません。
私が書くものはこう言ったキャラの暴走を止められないものなので、苦手の方
はどうぞお引取りをお願い致します。
それでは、ここまで読んで下さり誠にありがとうございました。
これからも「光と闇の間に...」を宜しくお願い致します。