……桜。


       そういえば、俺が、青学に入ってから一年経つんだよね?

       ちょうど去年も今年と同じくらい満開だった。


       ねぇ、先輩?

       俺はアンタにとってどんなヤツだった?


       きっと、先輩のことだろうからこんなことをマジで訊いたとしてもおろおろするだけ

       なんだろうけど。

       俺は、アンタのことをマネージャーなんて思ったことはないよ。

       一年前、俺が男子テニス部に入った時、先輩はいつも笑っていた。

       三年生のくせに俺と同じ身長しかなくて、最初は、ドジでおっちょこちょいな人とし

       か見ていなかった。

       だけど…………いつの間にか、先輩が俺の中でどんどん大きくなっていた。


       ねぇ、先輩?

       俺は、先輩のことが好きだよ。

       これだけは誰にも譲れないってくらい。

       あっ、テニスもそうだけど。

       卒業式に伝えようとして結局、できなかった。


       だって、アンタを見ていたのは、俺だけじゃないんだよ?

       手塚部長や大石副部長……レギュラー陣じゃない人だって見ていた。


       こんなことを先輩が知ったら、珍しく俺が弱気になったって笑うかな?

       今は言葉にしてアンタを浚うことなんてできない。

       だけど、いつか先輩?

       アンタを浚っていくよ。

       高等部に進学した先輩は、もう、中等部にはいない。

       だけど、俺の噂がそっちまで届くように俺は今以上に強くなる。


       だから、会いに来てよ?


       俺、待ってるから。

       アンタが、また、こっちのコートで笑ってくれる日を待っている。

       でも、俺は男だから、受けばかりなんてヤダ。

       待っているばかりなんて何も起こるわけないし、それに退屈だしね。

       今に見ていろよ。

       乾先輩の忠告を守って牛乳を飲んで先輩たちと同じくらいデカくなってやる。

       そして、先輩を意地でも惚れさせるほどカッコよくなってやる。


       ねぇ、アンタには好きなヤツとかいるの?

       さっきまで強気だったくせになんてまた、笑われそうだな。

       中等部にいた頃はそんな話し訊いたこともなかった。

       もし、いないんなら、今、この瞬間から俺のことを好きになって。

       俺は先輩のことを大切にする。

       勿論、テニスをあきらめないけど。

       それと同じようにアンタをあきらめるつもりはないから。

 

 

 

       #後書き#

       初越前レターを書き上げましたが、皆様のご感想は如何だったでしょうか?

       今回は『祝 テニスの王子様手紙初登場!』の割には、初めて片思い視点に

       させてしまいました。(土下座)

       あぁ……何か、彼に恨まれそうで怖いです。(震)

       今回の作品案も越前君のアルバム『cool E』の「Thank you for…」より頂いてきました。

       この作品を拝聴していた柊沢は、「絶対、何かの形にして残すっ!」と言う

       情熱より執念と言ったものがありまして、今作品が出来上がったと言うわけです。

       今の所、次回も「Thank you for…」を取り扱った作品を考えておりますので、

       その際は、どうぞ宜しくお願い致します。(ぺこり)