それは一本の電話から始まった…。

         『―で、明日はついに学園祭だけど…。青学の模擬店、来るよね?』
         「え?あ、いえ、運営委員の仕事が…」
         『来るよね?』
         「…ハイ」


         火花散る学園祭



          跡部&榊によって開かれた合同学園祭。聖ルドルフの運営委員・ はひょんなことから不二
          周助と知り合った。学園祭一日目、 は昨日の電話を思い出し、ため息をつく。

         「どうしました?」
         「あ、はじめ先輩。…実は、不二さんに模擬店を見に来いと脅されまして…」
         「…おのれ、不二周助…。いい度胸ですね、んふふふふっ…」
         「あのー、はじめ先輩???」
         「 さん、僕と一緒にその模擬店へ行きましょう」
         「え?いいんですか?店の方は」
         「店のことは他の部員に押し付gakuensai.htmけ…いえ、任せますよ」

         ということで、観月と は青学の模擬店へと向かった。店の前には、不二周助が立っていた。

         「いらっしゃい、 さん。…余計な人もいるみたいだけど」
         「んふっ。余計な人とは…僕のことですか?」
         「フフ。他に誰がいるのかな」

         …やはり、険悪なムードとなる。(とにかく入って、飲み物でも頼んでさっさと出よう、うん)と考えた
         「と、とりあえず入りましょう」と言い、店の中に入った。
          「ご注文は?」と、不二が と観月の注文をとる。

         「えーと、じゃ、オレンジジュースを」
         「んふっ。では僕も同じものを」
         「 さんはオレンジジュース。観月は…イワシ水だね」
         「!?何を…!」

         不二はスタスタと去ってしまう。本当に一つ、イワシ水を持ってくるつもりなのだろうか…。まぁ、飲まなけ
         ればいい話だと思い、観月は に向き直る。

         「ところで… さん、よく聞いて下さい」
         「はい?」
         「不二周助に何を言われても、たとえ脅されても奴には近づいてはいけません。貴女も気づいていると
         は思いますが、不二周助はそれはもう、腹黒い男です。近づいては危険なのです!わかりますね!?」

         あまりの迫力で言うため、 はうなづくしかない。そんなことを話しているうちに、「お待たせしました」と
         不二が注文の品を持ってきた。二つとも、きちんとオレンジ色をしている。

         「…イワシ水を持って来るのはやめたのですか」
         「仮にも客に僕がそんなものを持って来ると思う?」

         一安心し、 はジュースを飲む。「おいしい」と言うので観月も一口。

         「ぐふぅあ!!」
         「!?はじめ先輩!?」

         オレンジジュース…に見えるものを飲んだ観月は、一口飲んだだけで真っ青になる。

         「んふ…んふふふっ…。何ですか、これは…」
         「イワシ水とオレンジジュースを混ぜたんだよ」

         言われてみれば、 のよりも観月に出されたジュースの方が色がうすい。

         「だましましたね!?」
         「だましてはいないよ。僕はちゃんと君にイワシ水を持って来るといったし、『僕がそんなものを持っ
         て来ると思う?』とは言ったけど『僕はそんな奴じゃない』なんて言ってない。あくまでもそう思うか尋ねた
         だけだからね」
         「くっ…!」

         そのやりとりの間、 はじっとイワシ水入りのオレンジジュースを見つめていた。どんな味がするのか興
         味があるのだ。ついに決心した は言う。

         「はじめ先輩。それちょっと飲んでもいいですか?」
         「 さん!?何を…」
         「大丈夫です!はじめ先輩が口をつけた所とは違う所から飲みますので!」
         「(それはそれで残念ですが)無茶はやめた方が…」

         観月だけでなく、不二も止めるが聞かず、 は得体の知れない飲み物を飲んだ。すると…。

         「…うっ!!」
         「大丈夫ですか!?」
         「口直しに水を飲んで!」

         …やはり、少し飲んだだけで飲めたものじゃないことがわかった。その時ふと何やら思いついた観月
         が、不二に言う。

         「不二周助。この飲み物は、僕への挑戦状と解釈します」
         「…うん。それで?」
         「これを僕が飲み干したら、もう さんには近づかないで下さい」
         「へぇ…。飲めるの?」
         「飲んで見せます」

         先ほど、その飲み物のものすごさを知った は止めようとする。が、観月は一気に飲み干した。

         「…くっ…」

         顔色が悪い観月に慌てて は水を差し出す。それを飲み、ようやく少し落ち着いた観月は「んふっ」と笑
         い「僕の勝ちですね」と言う。…が。

         「見事だよ、観月。だけど、僕が さんに近づかないって条件は、無効だよ」
         「!?」
         「フフ。だって、僕が返事をする前に君は飲み干したからね」
         「……」

         またしてもひっかかってしまった観月であった…。

          青学の喫茶店を出た と観月。

         「…本当に大丈夫ですか?はじめ先輩」
         「えぇ、もう平気です。…すみませんでした。勝手なことを言い出して。貴女に不二周助を近づけたくな
         かったので。…いえ、僕は貴女に僕以外の男が近づくのが嫌なんです」
         「え?」
         「僕は貴女が…「観月!!」」

         観月の言葉をさえぎって、不二は再び二人の前に姿を現した。

         「あのイワシ水入りオレンジジュースを飲み干したのに、何もなしっていうのも悪い気がしてね。これ、あげ
         るよ」

         不二周助人形を手に入れた。

         「…何ですか、これは」
         「観月がいらないなら、 さんが受け取ってよ」
         「僕がいただいておきます。(人形にも嫉妬しますからね…)…んふっ。君という人は…どこまでも邪魔
         をするつもりですか」
         「もちろん」
         「負けませんよ」
         「僕に勝つのは、まだ早いよ」

         と観月は、まだまだ前途多難のようである…。

         FIN.

         ●あとがき●
          ゲーム『学園祭の王子様』をもとにして書きましたが…。何が書きたかったんでしょうねぇ、私は…。
          あ、最後に出てきた『不二周助人形』は、ゲーム中で出てくる景品です。

 

 

 

 

 

         †ありがたくもない柊沢の感謝状†

         れなさん、今回も素敵なお話をありがとうございます♪

         何を隠そう私も『学園祭の王子様』をやってますv

         私の場合、迷って最初にクリアしたのがリョーマ君でした。

         う〜ん、この対決は見てみたいような見たくないような複雑ですね。(汗)

         私も早く書いてみたいなぁ、と思わせてくれるような楽しい原石でした。

         それでは、今年も『Streke a vein』を宜しくお願いします。