なぁ、


        俺には、解っているんだよ。

     お前が俺に惚れているって。

     毎朝、乾家の隣人である家のドアから姿を現すを待っているのが、俺の

     日課だった。

     三年前のちょうど今頃、夏の終わりにお前は越してきた。


     『今日から隣に引っ越してきました、 です。どうぞよろしくお願いします』


     『これは、ご丁寧に。こちらこそ宜しくお願いします』


     そう言って、の母親に応対したのは、俺の母親だった。


     『あら、その子、あなたのお子さんなの?』

     『えぇ、ほら、ご挨拶をしなさい』


     俺はちょっとした興味で耳を澄ませたな。

     『 初めまして、と言います。何かとご迷惑をお掛けするかと思います が、

      どうぞ宜しくお願いします』

     幼い声にも関わらず、はっきりした口調で言った本人の姿が見たくて俺は自室の

     ドア
ノブに手を掛けると…。

     『まぁ、礼儀正しいわね。家にも息子が一人いるのよ。貞治、

      ちょっといらっしゃい』

     いつもなら、やれやれといった所だが、あの時ばかりは素直に応じた。

     母親の隣で紹介される俺が目にしたのは、俺より頭一つ分くらい小さな少女

     だった。

     歳を聞いたら俺より年下の11歳だった。

     驚く俺を笑って見たお前に、俺は、好みのタイプを改められた。

     あれから早いもので、もう、三年経った。


     は、青学には入らず、名門の女子校である藍青中学校に通っている。

     だが、あの時感じた性格は変わらず、逆に磨きが着いていくようだ。

     さすが、名門の女子校といったところだろう。


     『 乾さん……おはようございます』


     そう言って、毎朝顔を現すお前の頬はいつも赤らんでいた。

     その愛しさについ、の頭を軽く触る。

     これでも、精一杯の理性だ。

     そうでもしなきゃ、お前を朝っぱらから抱きしめていただろう。

     俺の傍にずっといてくれる、

     柔らかな微笑みで悲しみも涙もすべて包み込んでしまう。


     なぁ、


     俺は、お前にただ守られるだけの男ではないよ。

     これでもテニスをやっているからね。

     あの時よりも身体的にも精神的にも強くなれたはずだ。


     だから、


     俺にお前の本性を見せてくれないか?

     俺にという少女を…。

     勿論、強さもお前の魅力だと思う。

     だが、いつの世の男も大抵、自分に頼ってくる女性に弱いんだよ。

     だから、

     お前のすべてを知るのは、俺だけと思わせてくれよ。



     ♯後書き♯

     
皆様、こんにちは。

     
こちらは、えかね様との相互記念に作業したものです。

     
柳生手紙の次にこの作品をupしたのですが、いかがなものだったでしょうか?

     
初めての割には、同じ彼のように短くならなくて良かったなぁというのが、

     正直な感想です。(爆)

     
「落ち着いた人」が彼の好みだそうですからそう努力しましたが、「年上希望」と

     
言う欄には目を瞑って頂けると嬉しいです。(苦笑)

     
一応、エンターテイメントに拘っている私としてはいろいろなヒロインを取り

     揃えているつもりですが、やはり、年上設定に偏っている傾向がありますので、

     今回は敢えて年下設定にしてみました。

     それでは、皆様のご感想をお待ちしております。