...。


         私は今から何千年前、氷狩一族よって作られた「黒翼」の半身でした。

         そして、出来損ないの悪魔も半身でした。

         だが、私達はお互いに恋をすることでそれから別離をすることが

         できました。

         その女性は、私を作った方の娘でした。

         清楚で可憐なその仕草は醜い姿の私にも向けられました。

         生きているものとは口を利くことが出来ない私は、彼女が話しかけて

         くれてもそれを返すことはできませんでした。

         だから、私は神に願った。


         私を人間のただの男にして下さいと......。


         その願いを聞き届けて下さるのなら、何十人でも何千人でもあなたの

         元へ送りましょう。


         なのに、神よ。

         私は生きるすべての命をあなたに捧げました。

         だから、私の願いを叶えてくるはずでした。

         だが、あなたはそんなことはただの必然だと言って私の願いなど

         聞き入れようとはしませんでした。

         あれから、私は何千年の時を越えて生き続けています。

         しかし、私が本当に愛した女性はもう、いませんね。


         神よ。


         コレもまた、あなたは必然と言うのですか?

         それなら、今度はあなたを神という場所から引き摺り下ろして

         差し上げましょう。

         それが、あなたが私に仕出かした愚かな悪戯なのですから。


         ですが、


         あなたと出会ったことには自然と神に感謝をしていました。

         あなたはあの方の血を引く者。

         だからなのでしょうか、あなたを見た瞬間、私は丹羽大輔やあの

         出来損ないのダークと同じような衝撃に襲われてしまいました。

         コレが二番目の恋というものなら、今度こそ放したくは無い。

         既に女性となってしまった割には、幼すぎる瞳。

         年齢より遥かに下回って思われる小柄なあなた。

         人形のように整った唇。

         私は初めてあなたと出会ったあの日、私は彼と同様の罪の証を残して

         しまいました。

         愛しています…、

         あなたのことを考えない日々など私は持ち合わせておりません。

         ですから、もう一度だけ私は神を信じてみようという気になりました。

         もしも、があの人のことを知ったら、どうなるでしょうか?

         少し興味はありますが、今日のところはここまでに致しましょう。

         そろそろもう一人の私が目を覚ます頃ですので、この手紙を隠して

         おかなくてはなりません。

         私が自由にの元に行ける日など、神は用意してくれてないでしょう。

         ですが、こうして文を綴ることであなたへの想いを言葉にして

         残しておきたいのです。


         だから、

         今だけは、あなたのことを想わせて下さい。

 

 

 

 

         #後書き#

         初『D・N・ANGEL』手紙をクワッドで飾りました。

         原作はあまり読んではいないのですが、出番は少ないキャラでは?と、

         思っている柊沢は、彼の作品を書いてみたいと言う欲に駆られて

         作業を終えた次第です。

         それでは、皆様のご感想お待ちしております。