元気でいるか?
俺と君は一年の年の差があって当たり前だが、俺が三年で君……いや、
二人きりの時は と呼ぶ約束だったな。
以前までは、学年が違っても校内で顔を合わすことがあったのに、今年は
俺が卒業してしまって会えるとしたら約束を交わした日だろう。
君がいないなど女々しいことは言わない。
だが、の笑顔を隣に感じていないと毎日を過ごしていることに違和感を
覚えることがある。
しかし、当人がいればそれだけで平常心を保っているのかと言うと
不安になる。
こんなことを君に言ったら、信用してもらえないだろう。
難攻不落……。
以前、君から訊いた事を思い出す。
絶対などこの地球上に限って存在しない言葉だと思っている。
どんなに堅いダイヤモンドでも、火の中に投げ込めば、ただの炭素の塊。
人々に恵みを与える水でも、台風が来れば川を増水させ洪水を起こす。
つまり、俺が言いたいのは......俺がに恋をしないなどありえない訳では
ないんだ。
実際、君は俺の心に住み始めていた。
だから、それが夢にも姿を現したんじゃないかと、最初の頃は思っていた。
だが、それは異次元を超えた俺達の未来だった。
…。
俺はもう、大切な存在に守られて生き長らえたくはない。
結局は俺が、トリスタンがデライラを助けた。
だが、もう少し速かったら彼女は間違いなく死んでいただろう。
それが、俺の見たビジョン。
俺はそれに抗議するためにあの世界に行った。
それは愛しいを守るためだった。
今まで、ビジョンには何の感情も抱いていなかった。
何をしても結局、その通りになってしまう。
それなら、最初からその対象に何の感情も抱かなければ良い。
そんな冷めたことを子供の頃から考えていた。
だが、君は違う。
その通りに起こったとしても、俺はそううなって欲しくないと、
何らかの対策を事前に立てていた。
なぜ、そう思うのかなど簡単すぎて考えようともしない。
…。
俺は君を愛し始めていたのだから……。
♯後書き♯
はい、『フルーツバスケット』の由希レター三作目と一緒に作業しました
初草薙レターは如何だったでしょうか?
彼は最初にクリアした人物ですv
柊沢はミステリアスなお方が好きと言おうか、単に眼鏡をしている人が
気になってしまうといおうか、良く解りません。
彼の何気のない一言でも笑いの線の細い私は、常に爆笑ものでした。
それでは、ご感想の方を心よりお待ちしております。