はぁ...。
ため息が出ちまう。
今日は、と初めて会う日だ。
いくら周りからクールだと言われている俺だって、そりゃ緊張するぜ。
どんな娘だろと思う反面、不安を感じている。
アンタとは、ネットで知り合った。
よく言う、今流行のメル友ってヤツだった。
初めはの方から間違えてメールを送ってきた。
メールの内容と文字からすると、向こうも日本人だろう。
ただ、さすがに、差出人名は隠してある。
このことから容易に考えられることと言えば、相手は俺より年上なんじゃ
ないかってことだ。
別に俺はHPとか持っていないから何ら悩むことなく、そいつにそのまま
送り返した。
すると、何分後かにまた見てみれば、また、同じ差出人名からメールが
届いていた。
またかと、半分厭きれて件名を見ると、謝罪が述べられていた。
俺はちょっとした興味が湧いてクリックしたのが、俺の苦悩の始まりだった。
段々、打ち溶け合って、お互いの正体を伝え合ったことがあった。
すると、やはり、アンタは日本人の女子大生だった。
正直、俺と五歳離れているのには、驚いた。
でも、身長は俺よりかなり小さいと言われて安心したりした。
運動をしているのに俺は未だ165cmのままだ。
同じ二年レギュラーの喜多にだって負けている。
俺が唯一勝てるのは、一年生で元マネだった部員の壇くらいだ。
何とも、情けない話だと思っている。
なぁ、。
アンタは一体、どんなヤツだ?
メールで俺はどんなことだって知り尽くしたつもりだ。
他人に頼られ甘えられていると感じて、こんなに良い気持ちになったのは多分、
初めてだろうな。
実際、この14年間何度も恋愛はしたことはある。
だが、どれも恋の片道切符だった。
なぁ、。
俺がアンタの全てを知っているようにも俺の全てとも言えるんじゃないかと
思うことを知っているんだろ?
そんなことをこの場で改めて言うほど、無知ではないことは解っている。
ただ、俺はこうしてメル友であってそれ以上の存在とネットという宇宙から公に
顔を合わすことに少し戸惑っている。
改めて、ネットの恐ろしさが解るというものだ。
約束した時間まで五分。
携帯のメアドを教えといたからもうすぐ掛ってくる頃だろう。
もう、後戻りはできない。
だが、ようやく逢えることに期待している俺がいる。
あんなに緊張していたのが、まるで、嘘のようだな。
お互いの当日の服装は事前に言ってある。
どんなヤツであろうともう、どうだって良い。
こうして俺が恋したアンタだから絶対、良いヤツに決まっている。
なぁ、。
アンタは俺のことをどう思っているだろうか。
帰り際に「もう、会うことはない」っていわないか?
今、それだけが心配だ。
違う場所で違う時間を生きていた俺たちが触れ合ったのは機械越しに表れる
文字だけ。
それだけなのにも関わらず、俺はこうしてに惹かれている。
アンタって、言葉の天才だよな。
もう、約束の時間だ。
腕時計を見る俺に白地のズボンのポケットに着信が入った。
それを見た俺は驚いて振り返ったっけな。
『今、あなたの後ろにいます』
なぁ、。
あの頃は、お互いの気持ちがすれ違っていたよな。
同時に恋に落ちていたなんて恥ずかしくてお前には言えないぜ、全く。
だけど、このに届くことのない手紙でなら言える。
俺もずっと前からが好きだった。
いや、……。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
室町手紙はいかがだったでしょうか?
前作よりも遅れてしまいましたが、こちらもえかね様のサイト
「マッリカモン」との相互&お友達記念にお送りしました作品です。
彼は原作もTVも出番が少ないので、ちょっと作業に戸惑ってしまったのが
本音ですね。(爆)
今作には、ちょっと実体験も織り交ぜてみました。
それを申しますと、長くなってしまいそうなので、直接私にメールか掲示板に
足跡を残して下されば、お答え致します。
それでは、これからも「光と闇の間に…」を何卒宜しくお願いします。