七月七日、七夕―。
「!短冊に願いを書くなら、何て書く?」
氷帝学園の3年生であるに、その友人のがそう尋ねた。
「今年は、短冊に願いを書く予定はないけど…」
「だから、『書くとしたら』よ!」
「う〜ん…。『今年の七夕こそ晴れて、天の川が見れますように』」
「はぁ!?アンタ、もうちょっと他の願い事があるでしょ!?」
「願いは自分で叶えるものよ!でも、天気は努力しても変えられないでしょう?」
「だからって…。アンタには一番の願い事があるでしょ?ほら、跡…」
「それ以上言ったらぶっ飛ばすよ??」
「暴力反対…」
願いは自分で叶えるもの!?
には想い人がいた。その名も跡部景吾。氷帝学園でその名を知らない者はいないだろう。
は必死で隠しているため、その想いを知っているのは友人のだけであった。
(『願いは自分で叶えるもの』なんて言ったけど…。…とにかく、自分を磨くことから始めよう、
うん。跡部を振り向かせるため、努力あるのみよ!)
などと考えながら廊下を一人歩いていると…。
「何真剣な顔してやがる、」
「うわっ!あ、あと、あとべ…っ!!」
突然隣に跡部が現れ、あたふたとする。その様子を見た跡部はニヤリと笑って言う。
「そんなに焦るとは…。俺様のことでも考えてたんじゃねぇのか?アーン?」
図星。
「…うん」
「…!今日はやけに素直じゃねぇか」
「跡部は今日も豪華な昼ご飯食べてたな〜と思って」
「前言撤回だ」
「えー」
…と、二人はいつもこのような感じで、よく話す関係であった。
(こうしてると、近い存在のように思うんだけどな…。テニスしてる時って遠く感じるのよね。
すごい人気だし)
「明日七夕だけど、跡部って何か願い事あるの?」
「…あるな」
「へー。まさか、笹買ってきて、短冊に願い事書くなんて可愛いことしないよね?」
「俺様を誰だと思ってやがる…」
「はいはい、跡部サマね。ま、叶うといいね、願い事。」
跡部の願い事って何だろう、と気にしながら、は教室へと向かった。
☆
翌日。今年も何事もなく、七夕が過ぎてしまったことをは少し残念に感じていた。
「やっぱり、『あの人にふさわしい人になれますように!』ってお願いするべきだったかな…」
「あれあれ?後悔してるの?だから、アタシが言ったのに」
などと、と話しながら廊下を歩いていると、突然背後に気配が。振り向くと、何故か血相を
変えた跡部がいた。が、どうしたのかと尋ねようとした瞬間、ガシッと両肩をつかまれた。
「!?あと…」
「『あの人』って誰だ!?」
「…は?」
「俺よりいい男なんざいるハズがねぇ!お前が惚れてんのはどこのどいつだ!?」
『どこのどいつ』と聞かれても、実際は目の前の跡部のことを言っていたので、は困り果てる。
助けを求めるようにの方を見ると、「あ、アタシ、教室に戻らなきゃ」などと言って、去って
行ってしまった。
(薄情者ーーーっ!!)
もはや、周りに人は誰もいない。さぁ、どうする…?
(…もっと自分を磨いてから告白しようと思ってたんだけど…。仕方ない、言おう)
の足音が完全に聞こえなくなった時、ついには決心した。
「……跡部のことだけど?」
「……何?」
「跡部らしくないね。いつもなら『俺様のこと考えてたのか?』って言うくせに」
「…ハッ。確かにそうだな」
「それにしても、貴重な跡部の姿が見れたよ。んじゃ…」
はっきり『好き』とは言っていないものの、告白したことになり恥ずかしいは跡部と目を
合わさず、早急にその場から離れようとする。…が、跡部に呼び止められた。
「。お前の願い、俺様が叶えてやるぜ?」
そう言う跡部の表情は、先ほどの必死の表情はどこへやら、意地の悪そうに笑っていた。
〜Fin.〜
☆おまけ☆
「ところで、跡部が言ってた願い事って、わたしと恋人になれますうに〜って事だったりして?」
跡部「……」
「…え。図星!?(冗談で言ったのに…)」
跡部「ま、俺様に叶わねぇ願いなんざないってことだ」
「うわー、すごい自信。さっきの焦ってる様をビデオに撮って残しておきたかった」
跡部「……」
●あとがき●
本当は、もう少し長い話にするつもりだったのですが…。時間がなく、中途半端に終了。
…こんなものを投稿する、私の勇気に拍手。(…え?)
七夕…。現在の七月七日は梅雨。なので、この日晴れて、天の川を見ることができた例が
ない。あぁ、見たい…。
†柊沢のありがたくもない感謝状†
れなさん、お忙しい中今月号もご参加して下さって本当にありがとうございます。
ヒロインの台詞に毎回、「ナイスボケ!」と感じながら鳩尾にきます。(笑)
我ながら笑いの線が本当に緩過ぎだと思いました。←笑い死にするタイプ?
本当ですねぇ・・・近頃は本当に七月七日は晴れませんね。(ため息)
昔は、七夕以外でも天の川が見れたのですが・・・。
それでは、次回も宜しくお願いしますね。