なぁ、


      何故、お前は俺の傍にいてくれるんだ。

      そう俺が尋ねると、いつも決まって笑って返す言葉がある。


      『私は囲碁のことはちっとも理解できないんですが、緒方先生の碁を打つ

       時の音が好きなんです』


      俺の指す碁の音?

      いや、確かに品質が良い碁盤ならそれなりのものが出ても不思議じゃない。

      だが、は俺がどの碁盤で打とうともそうやって笑ってくれるんだな。

      そして、俺もお前に合わせて変わっていた。


      いつも棋院に行く度おはようございますと言う言葉を捜している俺は誰だ?

      何故執着しすぎているのか解らない。

      はウチによく出入りする記者の新人で、碁のことはさっぱりだ。

      なのに、こんなにもあの笑みを探している俺は誰なんだ。

      『緒方先生っ!?』

      答えは割りと簡単だった。

      お前を誰かが見ていないであろう最上階の踊り場に連れて行って抱きしめた。

      その刹那に漂ったの匂いが俺を狂わす。

      何か言いた気な唇を塞げば、次第に素直になるお前。

      そう、簡単なことだった。

      俺はに落ちている。

      お前も俺に落ちている。


      『愛している、

      すれ違っていた想いに向き合う時。

      キスの余韻がなかなか冷めない目で、お前は泣きながら首を縦に振った。


      なぁ、


      今度はお前が俺に聞かせてくれ。

      愛しているという言の葉を…。



      ♯後書き♯

      はい、久しぶりに返事の無い手紙を作業しましたが、どうだったでしょうか?

      「ヒカルの碁」も素敵なキャラクターが揃っていて迷ってしまう作品です。

      その中で今回は緒方先生に大人の魅力を演出して頂きました。

      彼はアキラ君と同じく派手な色のスーツをキレイに着こなしていたのが

      印象に残っていましていつかは絶対大人の魅力を出してみたいと思っていました。

      Trialばかりに専念をしていた所為か何となく手紙事態にその要素が

      見え隠れしているような…ですけどそんなのは気にしないで下さい!