なぁ、


      自分は一体何を見とるん?


      俺は今日も部活の練習し、いつもやったら帰る頃やった。

      空にはキレーなお月さんが煌々とキレーやった。

      最初に会うた日もそーいや、こんな夜やったな。

      あン時はめずらしゅう岳人が風邪を引きおって休んどった日やった。

      俺は後で何やこうて見舞いに行こかと思うた。


      せやけどなぁ、

      俺は見てもうたんや自分が交友棟の屋上から夜空を見上げておンのを。

      俺は初め、こんな時間やし自殺するンやないかって冷や冷やしてもうたわ。

      だが、お前は次の瞬間、望遠鏡を取り出し、何かを必死になって

      見上げとった。

      その先にあるんは、煌々と光る満月。


      『なんや、天文部かいな』


      そン時、あまり心配したせいやろうか?

      思わず、そんな言葉が出てしもうた。


      なぁ、

      お前は変なヤツやな。

      俺をその横顔だけで夢中にするやなんてな。

      後で知ったことやけど、一年やけど、天文部の期待の星らしいな。

      それ故、周りから非難をこうているようやけどな。


      なぁ、

      お前は覚えているやろうか?


      俺らが初めて話おうた日を…。

      あン時は、いつもの部活からの帰り道やった。

      すると、今度は通り過ぎようとした天文部の部室の前に一つの鍵が無防備な形で

      アスファルトの冷たい道の上に落ちてたんや。

      何やと思って、ドアノブにそれを差し込んでみると、簡単にそれは

      入ってしもうた。

      内心慌てながら静かにその中を確かめてみることにしたんや。

      大体、こないな時間に部室の鍵がこないな場所に置き去りになってるんは

      おかしい。

      俺は生唾を飲んでゆっくりと開けた。

      けど、中は、キレーに整頓されとって誰もいないかと思った。

      あまり広くない部室の奥に何かがあるのに目が止まった。

      出口の近くにあるスイッチを押すと、そこには……お前が倒れとったんや。


      『おっ、おいっ!しっかりしぃや!!』


      何度も揺り動かしてもなかなか返事はけぇてこーへん。

      無意識なには悪いが、胸に耳を澄ませた。

      最悪な事態は起こらへんやった。

      次の瞬間、その可愛らしゅう唇からは小さな寝息が聞こえてきた。

      俺は一気に疲れが出てもうた。

      テーブルには、二つのカップ。


      の方にあるヤツは全部飲んどるんが、相方は全然口をつけておらへんやった。

      睡眠薬。

      父親がそーいう関係の仕事をしてるせいやろうな。

      匂いを嗅いだだけで、薬物が使われていることがわかってもうた。

      世の中慣れたくないもんなんやあるんやな。

      俺は祈るように自分の唇にキスした。

      正直言って、量まではわからへん。

      それが多い場合、死に繋がるんやからな。

      そうすることで、が苦しそうな声がしてくるんを待ってたんや。


      『…んっ』


      それから何分もせんうちに、予想通りの声がした。

      唇を放すと、涙を浮かべた自分と目がおうた。


      『やっと、起きたんか。お姫さん』

      俺は、自分を抱きしめた後に、コクった。

      頬を染めて笑うたを守りたい。

      そン時の思いは、今もこの胸にある。

      部は違うても自分がどこにいても俺が守ったるさかい……せやから、


      俺の傍から離れなさんなよ?

 



      ♯後書き♯
          

      皆様、こんにちは。

      忍足手紙はいかがだったでしょうか?

      実は、今作品を作業した際に心優しくも私のお友達であるれな様にお手伝いを

      して頂きました。

      私は関東出身者ですから関西キャラを扱うのをずっと避けてきたのですが、

      この方と知り合えましたので今回はありがたくも見直しをして頂きました。

      本当に感謝していlます。

      修正前の作品はお恥ずかしくてご紹介はできませんが、なんちゃって関西風と

      関東の言葉が交じり合った新たな言葉を作り上げてしまいました。(爆)

      それでは、ご感想の方を宜しくお願いします。