雨……か。


       それを見ていると罪に汚れた私を天が罵っているように感じる。

       だが、君への気持ちは変わらず、逆にますます求めてしまう。


       逢いたい…… ただ、その想いが自身を埋め尽くしている。

       雨は冷たく俺を私に戻していた。

       だが、それも何時まで持つのだろうか。


       彼女は私の生徒。

       言わば、禁じられた関係だ。

       寧ろ、愛し合うことも許されない。

       だが、私は教師から一人の男に変貌しようとしている。

       せめて、に送る手紙を認めればこの想いは治まるのだろうか。

       初めは何とも思わなかった一人の生徒として見ていなかった

       君が、いつの間にか一人のという女性を目で追っていた。

       君は遥かな高みを目指すかのように首位の席まで上ってきた。


       結果報告に来たの笑顔。

       出来る限りの平常心を保って誘った社会科見学。


       助手席に座る君の横顔。


       学年演劇で俺を捉えるの瞳。


       このまま君を浚いたいと思ったあの日。


       例え、が卒業してしまってもしばらくは……いや、一生

       を想い続けているだろう。

       俺がこれ以上に無いと思った熱情。


       それが、お前なのだから…。


       何故、歳の離れたしかも、まだ人生の岐路に立ったばかりの

       君を選んでしまったのか解らない。


       ただ、俺はが欲しかった。


       その愛くるしい瞳に映る自身が嫌らしいほどに君へ恋焦がれ

       ている。


       雨。


       これが罪だと言うのなら私は俺にもなるし、を浚っていこう。

       だが、それでは君を悲しませるだけだろう。

       それは避けなくてはならない。

       私は教師だ。

       そして、は私の担当する生徒だ。

       それ以上でもそれ以下でもない。

       私は私でいなければならない。

       私に死角は存在しない。

       これからも冷徹非道な氷室零一だ。

       何も変わらないままでいなければ……あぁ……まただ。

       いくら消し去ろうとしても君の姿が私の脳裏に浮かび、綿密に

       立てた制御装置をいとも簡単にクリアしてしまう。

       好きよりもずっと、を愛している。



       ♯後書き♯

       さすがと言うか、社会人からすれば心の葛藤があるんですね。

       作業していて勉強になりました!←逃げ支度完了

       それでは!!(逃げっ!!!)