いつからだろうか。

         君が俺の中に入ってきたのは…。

         俺は、君に出会うまで特別大切にしたいと思う人間は家族しか

         いなかった。

         尊敬できる両親は俺の誇りだ。

         それは今も変わりはない。

         なのに、俺はに惹かれている。

         それは、君の奏でる音色なのかバイオリンの旋律かわからない。

         ただ、俺はを意識せずにはいられない。

         以前、君に言ったことを覚えているか?

         いや、……覚えていなければ、それでいい。

         別に蒸し返すつもりなどさらさらない。

         突然、が…普通科の学生がセレクションに参加するなんて

         聞いた時初めはどうでも良かったんだ。

         ただ、俺はこのセレクションで確かなものを手にしたかった。

         それは名家に生まれた者の運命なのかもしれない。

         天高く囀ることを当たり前に思っていた。

         だが、それは君の奏でる音色に驚嘆した。

         これほどの人材が何故、音楽科ではなく普通科にいるの

         だろうかと。

         いや、もう、その話題はどうだっていいんだ。

         ……また、音楽科と普通科を比較してしまって申し訳ない。

         意識しなくとも、俺は他の生徒と何ら変わりない。

         それでなくとも、この想いをどう呼べばいいのか悩んでいると

         いうのに…。

         毎朝、が通るはずの時間に自分もやって来て、自然に君と

         登校を共にする。

         下校時刻まで屋上にいて姿を見つけては、階段を駆け下りて

         平静を装う。

         以前は息抜きと称してを誘って海を見に行った。

         それだけで俺の胸の中はいっぱいになる。

         なのに、君がいなければそれだけで不安になり、のことを

         ずっと考えている。

         気づけば、セレクションより君を欲している俺がいた。

         この気持ちをどうすれば良い。

         何遍も自問自答してみる。

         だが、それはどれもが空回りに終わる。

         俺はほとんどガムシャラ同然に、バイオリンを弾き続けた。

         唯一、ほっとする時間。

         頭の中に溜まったものをすっと出すような感覚。

         自分を探せる歪。

         弾き終わる頃、一人だけ拍手する人物がいることに驚いた。

         それは頬を紅潮させたがいたから…。

         あの時、はっきり解った。


         俺は、……君が好きだと…。


         以前、から聞いたことがあったな。

         俺の旋律が変わったと。


         それは多分、君の所為だろう。


         俺のを想う心がそうさせたのだろう。

 

 

         眠る君の顔を覗き込む俺は、きっと、とても満ち足りた表情を

         しているのだろう。

         最終セレクション後、君は音楽科に編入してきて今は俺と

         机を並べている。

         あの時、俺は大してに何も伝えなかったのではと思っているが、

         君はいつも笑って俺の傍にいてくれる。

         だから、この場を借りて言う。


         俺は君を愛している…。

 

 

 


         #後書き#

         PCゲーム「金色のコルダ」の月森蓮でした。

         それなのに、まだ、私はクリアしていません。(悲)

         いつも練習でつまずいてしまって、お恥ずかしい限りです。

         確か、漫画の方も出るようなことをお聞きしましたので、

         宜しかったらそちらの方も宜しくお願いします。