「あの子、アンタにからかわれてるだけなんじゃないかって不安なのよ。だから、自分の気持ちを
素直に言えないってわけ」
…というのは、とある華やかな服装の者が、とある人物に言った言葉である―。
素直になれない理由
新選組女隊士・は満開の桜を眺めていた。…と、突然、背後に人の気配を感じたため、慌てて
振り返る。そこにいたのは見慣れた人物であった。
「…本当に神出鬼没ですね、梅さん」
「わしとおまんがよう出会うんは、運命の糸で結ばれちゅう証拠ぜよ」
…出た。口説き文句。
「桜の下で会うとは、まっこと、ろまんてぃっくじゃ」
などと、語りだす才谷梅太郎。
(『ろまんてぃっく』…?う〜ん…、とりあえず、今のうちに逃げよう)
そうして、はこっそりと逃げ出した。「さん、待ちやぁ!」と言う才谷の声が聞こえてきたが、聞こえない
ふりをして屯所へと帰って行った。
☆
屯所に帰ってきたに、山崎烝が声をかける。
「どうしたのよ、ちゃん。浮かない顔して」
「…梅さんって、女なのに新選組隊士である私が珍しくて、興味があるだけですよね」
「…え?」
「梅さんは、新しいものとか、珍しいものが好きですから」
そう言うと、山崎は笑い出した。
「ちゃん、梅ちゃんが好きなのね」
「な…っ!?どうしてそうなるんですかっ!?」
「だって、そんな事気にするなんて、梅ちゃんが好きって証拠じゃない?」
「そ、そんなんじゃありません!」
ムキになって反論すると、ますます笑う。するとは怒って去っていってしまった。
「これは…梅ちゃんに報告してあげないとね♪」
などと、楽しそうに一人つぶやく山崎であった。
☆
それから数日後。が一人町を歩いていると、三人の浪士に囲まれた。
「新選組の隊士だな?」
そう尋ねてきたかと思うと、突然剣をぬく三人。も剣をぬこうとしたその時、の後ろから声がした。
「わしの女に、何か用かえ?」
神出鬼没・才谷であった。才谷のただ者ではない雰囲気を感じ取ったのか、二人はあっという間
に逃げ去った。…一方…、は才谷に背を向けたまま、わなわなと肩を震わせている。
「…梅さん」
「?礼なら、必要な…」
「私がいつ、あなたの女になったんですかーーーっ!!」
クルッっと才谷の方に向き直り、そう叫ぶ。
「遠い昔から、決まっちゅうことじゃ」
「勝手に決めないで下さい!」
すると、優しく微笑んで才谷は言った。
「安心しぃや。わしはおまんを珍しがって近づいちゅうわけじゃーないきに」
「…え?どうしてそんなこと…」
と、言いかけてハッとする。先日、山崎と話したことを思い出したのだ。
(まさか山崎さん、私が話してた事を梅さんに言った!?)
「わしは本気でさんに惚れちゅう。…さ、わしの胸に飛び込んで…」
「さっきは助けてくれてありがとうございました!それでは、さようならっ!」
「!?さ…」
ダーッと走り去る。彼女が素直になるのは、もう少し先の話である…。
〜おわり〜
●あとがき●
多少、土佐弁を勉強したのですが…。難しい。
このゲームでは、梅さんが一番好きなので、この人の小説を書いてみたかったのです。…わけの
わからん終わり方で申し訳ありません…。
†柊沢のありがたくもない感謝状†
やってきました第四弾『Streke a vein』夏初月号に最初に出版元である柊沢に送って下さり本当に
ありがとうございますv
別に差を付けている訳ではありませんが、今回、初めてにして最初に投稿おめでとうございます!(拍手)
そして、お疲れ様です。(深々)
前回の端月号の後に宣言して下さったとおりに、「幕末恋華 新選組」を作業して下さいました。
また、この企画のためにわざわざ土佐弁を勉強して下さってありがとうございます!
私もジャンルは違えど「テニスの王子様」の仁王君の方言が何処のものかと知りたくていろいろと
漁りましたよ!←失礼な、一緒にするなよ(笑)
話は変わりますが、梅さんもなかなか魅力的な持ち主、あなたが惹かれたのも頷けますよvv
ラストシーンなんかもう、何をされても良い♪と言う昔の歌のような終わり方でしたからね。(殴)
今作を拝読した際にゲーム中の平和な雰囲気が伝わってきて、こちらにも何かを感じさせてくれる
作品でした。
それでは、次回も宜しくお願いしますね。