夏期休暇に入ったかと思えば既に季節は過ぎています。
私は、立海大の誇るテニス部に所属しておりますから、毎日自宅と学校を行き来して
一日を終えてしまいます。
ですが、その生活に不満に感じたことはありません。
むしろ、ゴルフにしか向いていなかった私の目を覚まさせてくれたのがテニスでした。
私は日々、その応えようとしているからこそ今の私があるのです。
ですが、さん。
私はそんな帰宅途中、あなたと出会ってしまいました。
初めてさんと言葉を交わしたのは、市民図書館でしたね。
私は、読み終えた洋書を返却のカウンターの方に返し終わりましたら家路に着く
つもりでした。
すると、どこからか何かを聞こえてきたかと思い、振り返ると、そこには何やら難しい
お顔をされたあなたがいました。
『どうされましたか?』
『えっ…ひゃ!?』
いきなり声を掛けられたからでしょうか?
さんは、こちらに振り返るなり大変驚いた顔をなさって持っておられた本を落とされ
ました。
『すみません。驚かさせてしまいましたか?』
『い…いえっ、すみません。せっかくお声を掛けて頂いたのに、申し訳ありません
』
何と言う言葉使いでしょうか。
最初に出会ったあの時は、遠くから見守ることしかできませんでした。
まして、このようにお話を出来る機会があるとは夢にも思いもしませんでした。
『柳生さんっ』
あの日から私はあなたがたくさんの観客の中から見つけるたび、勝利を確信して
いました。
さん…、あなたは私の勝利の女神です。
以前、このようなことを申しましたら、さんはお顔を赤らめられましたね。
そんなあなたが私は、愛しいのですよ。
いつかの帰り道、初めて言葉を交わしたあの日のことを話してくれましたね。
事前にさんも、私のことはご存知だったこと。
そして、恐らく私よりも先に恋に落ちていたこと。
それは、言うまでもなく柳生比呂士この私であることを好きだと仰って下さいました。
ですから、私もこの返事のない手紙であなたへの想いを綴りましょう。
私もさんのことが好きですよ。
♯後書き♯
皆様、こんにちは。
柳生手紙は如何だったでしょうか?
こちらは私のお友達の茉莉花恋様にお送りしました。
今回初めて手紙作を送ることになって少々緊張していたのですが、花恋様も
とても気に入って下さったようなので、こうして相互記念に手紙を作業しました。
それでは、こちらまでお読み下さり誠にありがとうございました。