明日になれば、ただの夜になっちまう時間に俺たちは、セントラルの執務室にいた。
聖なる今夜だけは、大総統のお許しで夜勤がなくなったが、俺と大佐はスケジュール
なんてなくて結局、いつもと同じくビジネスデスクに同じ姿勢のままペンを走らせて
いた。
なぁ、大佐。
俺ならまだしも解る。
でも、何でアンタがこの夜にここで仕事をしているんだ?
こんな恋人達には特別なイベントである今夜に…。
俺は、書類を何度も目を通しながら再確認をしながらそんなことを思っていた。
俺は、所詮独り者だ。
この前だってケーキ売りの娘にフラレたばっかで、普段は結構いつもの調子でいる
が、実は落ち込んでいる。
だけど、大佐はいつも女の子に声を掛けられたり振り向かれている。
俺はそんなアンタをずっと見ていた。
それが、どちらかの気持ちか判らずに。
みんなは、家族と約束があったりで結局は俺たち二人きりになった。
野郎二人っきりだからだろうか、俺の頭はいつも以上に落ち着きが無かった。
こうして書類を捲っているのだって、もう何十回も繰り返している。
「…雪が降っているな」
その声に顔を上げた俺は、窓辺に立つアンタを見た。
俺の目にも大佐が今見ているそれが確かに揺れて映った。
どーりで、朝から寒いと思ったぜ。
俺はアンタの隣に立つと、しばらく黙って眺めた。
ちらりと横を向けば大佐と目が合い、瞬時に離した。
何だよ、これ?
待てよ、俺。
今、隣にいるのは上司であって男だ。
女の子じゃない。
やばい。
俺、今、ムチャクチャ焦ってんのか?
何故だか、無償にドキドキしてきた。
再度、横を見るとやっぱり、目が合った。
しかも、頬が赤かった。
もう、駄目……だ。
俺は、アンタを抱きしめキスをした。
唇は想像したよりも柔らかい。
俺は大佐の全てを知りたくてその場で愛した。
「あっ、ああ」
軍服を淫らに肌蹴させ、腰をガクガクと言わせる。
「くぅ…ふぁ……ああっ」
胸の突起は俺の方を主張するように尖っている。
元々入るべきでないアンタの中は俺を排除しようとしてぐいぐいと内壁で締め付けて
くる。
いや、それとも俺を受け入れるため?
「好きだ…好きだ、大佐っ」
遂に、男にコクっちまった。
もう、後戻りはできねぇ。
だけど、俺の中には確かにその気持ちがある。
俺は衝動でアンタを好きになった訳じゃない。
俺は女の子に惚れながらも大佐にマジボレしていたんだな。
時刻はもう、明日になっていた。
アンタより早く起きた俺は自分の上着を掛けた。
なぁ、大佐。
アンタが目を覚ましたら真っ先に閉めたカーテンを開いてこう言おう。
一日遅れでも良い。
他の誰よりも真っ先に大佐に伝えられるならそれで良いんだ。
「メリークリスマス」は、恋人同士の合言葉だから。
♯後書き♯
「鋼の錬金術師」初BL手紙を飾りましたハボロイ裏BL手紙は如何だったでしょうか?
私はどっちかと言うと、ロイ攻めの方を良く作業してしまうのですが、受けはちゃん
と書けたでしょうか?
実は、今作はクリスマス企画にしようと思って忘れていたものです。(爆)
仕方なく、翌朝でまとめたというわけですが、如何だったでしょうか?
それでは、深夜から愛を込めて、メリークリスマス!