2002年 本文へジャンプ


コミュニティの建築家プログラム



2002年に世界住宅賞を受賞したコミュニティの建築家プログラムは1994年にパイロット・プログラムとして立ち上げられたが、現在キューバ全土をカバーし、自力で家を建てたり改築する世帯に手頃な技術サポートを提供している。プログラムは、自己基金で、これまで50万世帯以上が利用している。それが用いる参加型のデザイン・アプローチは、良好な生活状態と同じく、スキルや信頼を各家庭にもたらす。その仕事は国際的にも評価され、現在、他のラテンアメリカの国で模写され、南アフリカでも運営されている。

目標と目的

 その住宅を自助ベースで建てるか改築するためにアフォーダブルな技術支援を提供する。

プロジェクトについて

  キューバはカリブ海に位置し、その人口は1130万である。その医療と教育指標、そして、人口増加率は多くの先進国のそれに匹敵する。町と都市周辺のスラム街の広がりは実際に知られていない。

 1990年の共産主義圏の崩壊で、ソ連と東欧諸国からキューバになされていた外的支援は実際に一夜にして消えうせた。結果として起きた深刻な経済危機で、国の住宅プログラムは停止することとなり、住宅を提供するための代替手段を探すことが必要となった。この新たなアプローチは、デザインや他の住宅サービスを提供することで、人々が自分で工事をすることをサポートし、地元で生産された建築資材と技術支援を開発することも含んでいる。

 コミュニテの建築家プログラム(PAC)は、こうしたニーズを満たす一助として、国家住宅庁、ローカルNGOアビタット・クーバ、そして、2つのローカル政府により1994年にパイロット・プログラムとして立ち上げられた。その住宅状況や暮らしの質を改善するため、キューバの人々に専門サービスを提供することがそのベースとなる。

 それは2つのムニシピオで働く24人の建築家から始まったが、大成功をおさめ、以来全土をカバーするまで広まり、現在、キューバの169のムニシピオのうち157のムニシピオでは630人以上の建築家が働いている。プログラムは継続中で、50万戸以上がこれまでに援助され、ますます多くの家庭がサービスを利用している。

 カストロ政権の40年間でキューバでは150万戸が建設されたが、そのほぼ3分の1は自分で建てられたものだ。世界の他の場所でのそれのように、この自己建設住宅は質が劣っている。頑丈な資材では建てられているが、工事の質は劣っており、必要とされるよりも多くの材料が使われ、部屋は小さ過ぎる。換気は不十分で、内装も良くない。都市部では、インフラとの接続も不十分だ。

 コミュニティ・プログラムの建築家はアルゼンチンの有名なコミュニティの建築家、ロドルフォ・リビングストンにより開発された参加型のデザイン・アプローチを用いている。その手法は、プログラムで働くすべての建築家に教えられている。コミュニティ・プログラム・サービスの建築家を使いたい家族は、ローカルなオフィスにアドバイスを求める。すると、家族全員がいるときに建築家が家庭を訪問し、一連の計画とデザイン手法を通じて、その住宅の将来について家族のニーズと希望を特定する。詳細な手段が特性から出され、4~5のデザインの選択肢が書きあげられ、最終的なデザインが開発される前に家族と議論される。

 一連の標準的なレシピとしての解決策を用いるよりも、むしろ各家族の個別事情の解決策を見いだすことが重視されている。また、最小限度の費用で最善の解決策を担保するためのニーズもきわめて重要な考慮すべき事柄だ。いくつかの家族は、二番目の階を建て、別の者は側に建てるか、内部空間を良く配分し、換気を改善するため、住宅内の部屋をただ再配列する。

 建築家は、家族が仕事に必要な建築許可を入手することを支援し、次に工事の監督を手助け、必要とされるアドバイスやサポートを提供する。最小限度の官僚制度と遅れだけで、迅速で効率的なサービスが提供される。

 このプログラムは技術的なものだけでなく、社会的なプログラムとも考えられる。それが人々のスキルや自信を発展させているからだ。良い仕事の関係性が家族と建築家の間では確立され、双方が敬意を払うことから、建築家とクライアントの間の典型的な分水嶺は砕けている。家族はプライドをもって「私たちの建築家」と呼ぶ。建築家は働くコミュニティ内で暮らしているので、状況や人々が直面する課題の実用的な知識があり、そのデザインの解決策にこの知識を取り入れることができている。

 都市部では、建築家たちはローカルな計画当局と協力し、環境へのより統合された改良を確実にしている。プログラムの結果、人々は自分たちの暮らす場所の状態をよく知り、生活環境の質を改善し続けようとしている。

 プログラムの主なメリットは、アフォーダブルで誰もがアクセスしやすいことだ。1世帯の典型的な月収は350ペソ(14ドル)だが、総合プロジェクトの建築家のサービス経費は平均250ペソ(約10ドル)で、建築費は14,000ペソ(560ドル)だ。建築家が提供するサービスの料金リストが利用できるため、様々なレベルでの仕事がいくらかかるのかを家族ははっきりみることができる。サポートの手段を持たない家庭では、こうした料金は社会保障制度によって満たされる。

 平均では各建築家は月に16~20のプロジェクトとサービスを提供し、そのあるものは他のものよりも複雑だ。支払いのインセンティブが建築家には用いられている。もし、500ペソの生産をすれば、彼らは310ペソの基本給を受け、750ペソかそれ以上を生産するならば、465ペソまでアップする。

 今、彼らはノーマルの仕事に加え、実施した仕事の経費がより大きければ、大きく受けられる新たな給与制度を研究している。これは、建築家が月に800~1,300ペソ(39~50ドル)を稼げることを意味する。建築家は、その仕事にコミットし、自分たちをソーシャルワーカーと同じように見ており、家族がその日常生活で直面する困難を解決するのを助けている。

 プログラムは、家族がカバーできるコストで支払われる料金だけで費用がまかなわれている。2000年のプログラムの総収入は42万8000ドルで、支出経費は30万4000ドルであった。活動での利益は、国家予算に返還される。政府は、画紙、インク、ペン等外貨でだけ購入できる商品の購入で年に1万5000ドルを提供しているが、それ以上の支援は提供していない。

 州のPACオフィスはコンピュータを備え、デザインワークはCADシステムを用いることでなされている。プログラムを開始させる一助としてヨーロッパのNGOが、コンピュータと2万5000ドルを1994年に提供したが、これが、プログラムがその初期の開発段階で受けた唯一の外部からの支援だった。どんな外部からのサポートも期待されないし、必要とされていない。

 建設工事はコンクリートブロックやクレイのタイルを主に用いているが、現在、適当な土製のブロックを作り出し、その使用方法を建築家にトレーニングする計画が進行中だ。例えば、大規模なハリケーン被害のため増築工事のニーズがある時、これは、セメントの地方への供給が不足するときに、引き起こされる遅延を克服する一助となろう。

 セラミックの空洞タイルとレンガは、現在、4州で使用されている。適切な環境条件のあるところでは、建築資材として竹の使用も促進されている。環境的に持続的な解決策は、水や既存の建築資材の再利用のリサイクルを奨励することで、家庭によっても促進されている。

 プログラムは現在確立されており、建築家は特性の登録で、政府を支援するための他のサービスも実施できている。様々なオフィスのすべての建築家が、出会い、自分たちの仕事について議論し、良い実践をわかちあう機会が通常にあることによって、進行中の専門性が開発されている。全国で高い基準を保証するため、品質管理システムも設けられている。

 皆にでもアクセスしやすく、少ないものでさらに良くするというそのコア原則は、プログラムが他の多くの発展途上国でも関心を引くことにつながった。世界から多くがこのプログラムを視察に訪れ、同様のプログラムが建築家協会によってウルグアイでも確立されている。南アフリカ政府はキューバと協定し、南アフリカで同様のアプローチを確立するために2年を過ごす12人のPACの建築家を現在支払っている。アルゼンチンの建築家協会も同様の経験を開発しようとしており、ぺルー住宅省もプログラムに関心を寄せている。

2003年5月に BSHFはキューバでの国際調査を実施している


 Architect in the Community Programme Winner 2002, BSHF