
| III 経済危機とその後の回復の間における社会問題 |
革命以降、一貫した統計が不足していることが、建てられた住宅数を正確に計算するうえでの重大なネックとなっている。1959~1963年は年間数値が発表されておらず、1964~1980年は国の民営部門による住宅建設年報があり、1981~1987年には、協同組合、軍、住民によって建てられた住宅が加えられ、居住に適するものかそうではないかが点検、認証された。1988年からは未認証の住宅と軍の住宅が統計から除かれている。
1981~1987年にかけては、住宅建設の規制緩和と建築資材が利用できたことから、革命以来、最大の住 宅数となり、うち民間住民が建てたものが平均で60%を占めた。だが、1988年の住宅法は、建築や住宅の交換に厳しい条件を課し、また、国民への建築資材の販売を廃止し、国の役割を強化し、これに応じない者への罰則規定も定めた。
1990~2001年にかけては経済危機によってセメント生産が59%、ブロックが64%、砂や砂利は71%、レンガは73%と建築資材生産が急落した(Atienza, 2004a, p. 248)。この二要素から、国民が建設する住宅の割合は全体として落ち込み、1990~2002年ではわずか平均34%まで低下した。1981~1990年にかけての3つの5ヵ年計画下での住宅建設も目標を45%下回っていた(Mesa-Lago, 2000)。
| 指標 (千トン) |
1989~89年 |
1990~94年 |
1995~03年 |
2003年 |
| 平均建築数 |
61,198 |
28,638 |
41,604 |
25,000 |
| 住民1000人当たり |
6.1 |
2.8 |
4.5 |
2.2 |
| 不足数(1000戸) |
800 |
208 |
308 |
1,000 |
出典: 1981~1989年及び1990~1994年: Mesa-Lago (2000)、1995~2003年: ONE (1998 to 2003)、2003年: ECLAC (2004)。2003年の不足数はMesa-Lago and Perez-Lopez (2005)の評価による。
なお、1981~1989年に建てられた総住宅数は検査証明書がないものも含んでおり、それは1988~2003年では報告されていない。この問題から、年間の平均建設数は1981~1989年の6万1198戸から1990~1994年の2万6638戸まで減っている。1995~2003年には4万1604戸まで回復するが、それでも経済危機以前の水準の30%以下である。しかも、2003年に建てられた住宅数は2万5000戸で、経済危機の最悪時の平均以下まで落ち込んでいる。
また、住民1,000人当たりの建築戸数は、6.1~2.8まで減り、4.5まで回復したが、再び2.2まで落ちている。ガルシア・モリーナは、1994年には住宅の建築件数がかなり回復されたと述べているが、Atienzaは、より慎重で、1990年代前半のセクターの崩壊によって停止していたメインテナンス、修理、改築が新たな政策では優先され、それがプロセスを持続させたと述べている(Garcia
Molina, 2004, p. 13; Atienza, 2004a, p. 249)。
Atienzaによれば、住宅ストックは1990~2002年にかけ、190~313万戸まで伸びたが、住民当たりの数では4.51~3.13まで減少した。しかし、これは新たな建築工事のためだけではなく、既存住宅の分割や既存住宅の屋上での工事のためだった。しかも、1991年センサス(2002年のセンサス結果は2004年末段階でいまだに未発表)では、住宅ストックの老朽化が進み、十分なメンテナンスや修復の失敗によって、ますます劣化していることを示している。そのため、住宅の約40%は平凡か悪い状態で、その率は東部の州では50%以上にもなっている。
ハバナでは、1999年に住宅の43%が中間か悪い状態で、この割合は旧市街地では75%にもあがった。都市全体としては、構造的な問題が住宅の59%で報告された(Perez Villanueva, 2001)。
2000~2001年には、3度のハリケーンが、3万5724戸の住宅を破壊し、さらに27万2105戸を破損した。資源はこうした住居の再建に集中されなければならず、維持・修復の取り組みは減少した(Atienza,
2004a, pp. 258-260)。
最後に、1980~2000年の経済開発戦略では、破壊した住居を交換するためだけで、この時期に年間平均6万戸の居住を造ることが必要だと考えているが(ガルシア・ディアス、当時住宅計画に責任がある中央計画局の副大臣)、その期間の実際の年間建築数はわずか4万8000戸にすぎず、不足はかなり増えたに相違ない。
Atienzaは劣化による損失や破壊を考慮すれば、住宅不足は53万戸に及ぶと断言しているが、彼女はこの主張の根拠となる数値も計算も一切示していない(Atienza,
2004a, p. 258)。もし、各世帯が平均3人と仮定すれば、この不足は160万人、総人口の14%に影響しているであろう。破壊された住宅の控えめの見積りに基づいても、1985年の不足は88万人で、住宅建設の速度が1990年代に遅くなったため、不足は100万戸を超えていたに違いない(Mesa-Lago
and Perez-Lopez, 2005)。この話題について、キューバのエコノミストはこう語っている。
「住宅は国に影響する最も深刻な社会問題で、それ以外にも理由はあるが既存居住の深刻な劣化のために、新たに建てられたものよりも蓄積されたニーズは大きい」(Triana, 2000, p. 10)
なお、Atienzaが特定した問題点の中には、住宅不足の深刻さをさらに得られるものがある(Atienza, 2004a, p. 263)。2002年に首都でなされた調査では、インタビューを受けた者のうち16%が住宅について貧しく、住宅が彼らに影響する最も深刻な問題だと自ら説明し、19%はほとんど貧しいと述べた(Ferriol,
2003)。これに続くのが、不十分な所得と食料供給で22%となっている(Atienza, 2004a, p. 262)。
|