チャベス、貧困撲滅に着手せり、米国排斥を希望す

2002年3月7日 オーストラリア

Hugo Chavez has won two elections, and he has made a start on relieving poverty. So now the US wants to get rid of Venezuela's president

Jhon Pilger

 ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)は、選挙に二度勝利し、貧困を撲滅に取組み始めた。そのため、今、米国はベネズエラの大統領を取り除きたいと思っている。
チリにおいて、サルバドール・アジェンデ(Salvador Allende)改革政権が猛烈に破壊されたほぼ30年後、再演奏がベネズエラで計画されている。これについては、英国ではほとんど何も報告されていない。確かに、40年間で最高の支持を受け1998年、そして2000年に再度大統領選挙に勝利したウゴ・チャベス政権の業績について、ほとんど何も知られてはいない。
チャベスは、南アメリカの独立の英雄シモン・ボリバル(Simon Bolivar)にちなんで命名された、「ボリビアリズム」と称された運動の原則にしたがって、改革を導入した。それが、主に石油由来のベネズエラの巨大な富を、貧しく暮らす彼の80%の国民に向けはじめた。先の11月、ベネズエラ議会で採択された49もの法の中で、チャベスは、重大な農地改革に着手し、在来民族や女性の権利、そして無料のヘルスケアと大学水準までの無料教育を保証した。
 チャベスは、アジェンデが認識した敵に直面している。それは、1950年代以来、社会キリスト主義と民主行動との腐敗した二党体制政治の中で権力を持つように至った「寡頭政治」である。カトリック教会、労働組合階層、そしてメディアはいずれも右派によって管理されているのだが、これらの支持を受けて、改革に取り組む大統領に戦争を宣言したのである。彼らを激怒させたのは、国家が未利用地を召し上げ、再分配することを認める穏やかな農地改革、そして石油の掘削を制限し、国営石油企業の民営化を禁止する法律の強化である。
チャベスの国内の敵と同盟したのはブッシュ政権である。ワシントンを無視して、チャベスはキューバに石油を売っており、近隣のコロンビアの殺人政権を支持するアメリカのキャンペーン、「プラン・コロンビア」に物資を供給するためにアメリカ軍用機が行う領空侵犯を拒絶した。9月11日の攻撃については、チャベスはさらに激しく非難し、アメリカに「テロリズムに対してテロリズムで戦う権利」があるのか、と疑問をなげかけた。
これについては、彼は許されることはなかった。11月の5〜7日にかけ、国務省ペンタゴンと国家安全保障局(National Security Agency)は、「ベネズエラ問題」について議論するために2日間の会議を開催した。以来、国務省は、コロンビア、ボリビアとエクアドルでチャベス政権が「テロリズムを支援している」と非難している。だが、実際には、それらの3カ国において、アメリカが資金提供しているテロリズムに反対しているのが、ベネズエラなのである。
 アメリカは、それが「ベネズエラを外交的に孤立させるだろう」と言う。コリン・パウエルは、「民主主義国家のコアとなる部分についての彼の理解」を修正するよう、チャベスに警告した。よく知られた出来事が展開している。IMFは、ベネズエラの「暫定政府」に支援を示した。カラカスの新聞、エル・ナシオナル(El Nacional)は、チャベスを公職から罷免する人々に対して、IMFは喜んで資金援助をすると言う。ジェームズ・ペトラ(James Petras)ニューヨーク大学教授は、1970年代初めにチリに在住し、アジェンデ政権がどう破壊されたのかを研究したが、「IMFと金融機関が、周知の危機を作りあげている」と語る。「使用されている戦術は、チリで用いられたものと極めて類似している。混乱の気分と独裁者としてのチャベスの誤った像を産み出すために、民間人が使われる。それから、国家のための大成功を行なうように軍が刺激されるのだ」。
元落下傘兵、チャベスは、見たところでは、いまだに彼のバックに軍 (CIAが彼の忠実な軍の長官を殺害し、ピノチェトへの道を開くまで、アジェンデがそうしていたように)を持っている。しかしながら、数人の幹部職員は「専制者」としてチャベスを非難し、彼の辞職を要求した。これを評価することは難しい。つまらぬ噂を立てられることでは、対立的なカラカス報道は、チャベスの正気を疑問視する毒のある物語と共に、チリの右翼報道を想起させる役割を果たしている。
 最も気がかりな脅威は、反チャベス民主行動党のhack、カルロス・オルテガ(Carlos Ortega)率いる、反動的な労働組合階層、ベネズエラ労働組合 (CTV)からのものである。CTVは、「不忠実」や「破壊的」なメンバーのブラックリストを保持し、それを雇用者に提供している。カラカスからのディック・ニコルス(Dick Nichols)の記述によると、チャベスの最大の誤りは、大多数が彼にCTVを改革する権限を与えた国民投票に引き続いて、旧弊の組合団体に対して運動したことだった。
 ウゴ・チャベスの犯罪は、彼が、彼の祖国の富を再分配し、共通善に私有財産原則を従属させ、選挙公約を守り始めたということだ。敵の力を過小評価したことで、彼の現在の反攻撃は、イメージできるだけだが、絶望のヒントでもある。
 彼は、「ボリバリアン・サークル」と呼ばれるものをはじめた。うち、8,000が国中のコミュニティーや仕事場で確立されている。彼らの仕事は、シモン・ボリバルのスペインとの戦い中の勝利の革命的な遺産に基づき、「市民たちの意識を高め、健康、教育、文化、スポーツ、公共サービス、住宅、そして環境、天然資源と自分たちの歴史的遺産の保存のプロジェクトを開放し、コミュニティーでのあらゆる形式での参加組織を開発する」ことである。これと同類であるのが、「チャベス大統領を支持する力を統一し強化すること」が一般的な命題である。
これらは、大陸の叙事詩的な闘争史を通じてエコーする挑発的な言葉である。しかし、彼らは、別の南アメリカの国では、その国民に対して、貧困と外国支配へのオルターナティブを提供する際に、「よい事例の兆し」が大きな不確実性と恐れの期間に入っていると言う。ベネズエラの業績は、ラディカルな夢も変革ももはや可能ではないと言う人々に対する明瞭な反応である。チャベスは、すべての民主主義者から支援されるべきである。チリは再び起こってはならない。