ベネズエラの左派のウゴ・チャベス大統領(Hugo Chavez)は、都市菜園プログラムに着手すると発表し「菜園は雇用を創出し、輸入食料への依存度を引き下げることだろう」と語った。確かにそのとおりだ。だが、チャベスは、カラカスのダウンタウンの交通と高層ビルのまっただ中で今、育っているレタスやキュウリやミントが、論争という収穫をさらに生産するとは予期しなかったであろう。
この論争は、菜園プログラムを支援するアドバイザーの多くが、キューバ人であることから生じた。そして、チャベスの反対者たちは「ベネズエラを、チャベスの友人であるキューバの指導者フィデル・カストロにより率いられる共産主義独裁政治と似たものに転換することをチャベスが望んでいる」と批判し「農業指導以上のことをやるためにキューバ人たちがここにいるのではないか」と疑っている。
チャベスの批判者たちは「キューバ人たちの本当の目的は共産主義を教えるかスパイ行為を行うか、あるいはチャベスのゲリラ組織にプロの軍事的なトレーニングの準備を供給することにある」と非難しているのだ。
「ベネズエラにいるキューバ人は、指導のための準備をするための人々である」
退役軍士官組織の創立者、ラファエル・ウイチ( Rafael Huici)元中将は言う。だが、菜園アドバイザーは、ベネズエラにいるキューバ人のグループのうちのほんのひとつにすぎない。カラカスの最貧地区ではキューバの医師たちが住み込みで働いており、それ以外のキューバ人たちは、成人の全国識字能力プログラムを支援している。政府が組織化したプログラムにより、1,000人以上のキューバ人たちがここで仕事をしていると言われている。
■フィデル・カストロはウゴ・チャベスの最も親密な国際的な協力者だ
反対派のエクトル・ラレアル(Hector Larreal)議員は、国会の保健衛星委員会の委員長だが、キューバの医師がベネズエラで治療活動をする資格を持っておらず、不適切な医薬品で処方し、共産主義を広めている、と語る。
「最悪なのは、コミュニティの関心を失敗する政治体制に向けるイデオロギー的なメッセージがそれに付属していることなのだ」
反チャベス・メディアは、キューバの医師の誤診例を新聞の一面に掲げているが、その証拠はない。反チャベス派は、2002年の軍事クーデータでチャベスを排除しようとしたが、それは未遂に終わったし、その後も石油ストライキに失敗している。
チャベスの「貧民のためのボリバールの革命」がほぼ五年すぎた後も、ベネズエラは堅実に資本主義のままだ。だが、チャベスは、共産主義キューバへの賞賛を隠そうとはせず、そのリーダー、カストロは、はチャベスの最も親密な国際的な協力者である。
チャベスが、言論の自由が制限され、独立メディアが禁止され、貧困に陥ったキューバについてかつて「幸福の海だ」と述べたことは有名である。そして、キューバが民主主義活動家を最近監禁したことに対して、数多くの世界のリーダーが批判したが、チャベスはそうはしなかった。チャベスは、国家を共有化するいかなる意図を持ってはいないと否定する。むしろ、チャベスは「国際的に認識されたキューバの識字力や健康といった分野の業績から利益を得たい」と言うのである。
■好評
カラカス中心部の喧騒とした通りとヒルトン・ホテルの一角に挟まれた50aほどの農場では、共産主義が浸透していることは定かではない。農地を耕す協同組合の11人のメンバーたちは、「教化されてはいない」と語る。実際、菜園はプラザ地区に面するキオスクで、その産物を資本主義的に販売しているのだ。農場が誕生して以来、五カ月、協同組合のメンバーたちは、以前には荒れて雑草がはえていた土地から四トンもの農産物を収穫した。メンバーは、農産物を売ることで金銭を得ているが、以前は失業していた近隣の貧しい地区の居住者たちなのだ。
「こんな仕事をするとは思いもよりませんでした。でも、僕はその肉体労働が気にいっているんです好きです」
靴を輸入していたフランシスコ・リクエノ( Francisco Riqueno)(24歳)はそう語る。
キューバの医師たちも、彼らが配属された貧しい地区では評判だ。
「この40年の人生の中で、キューバ人たちがやっているような仕事はまったくありませんでしたね。キューバ人たちがくる前は、住民たちは遠方の公立病院まで行かなければならなかったし、そこでは貧しい患者は診察を受けるのによく長い時間を待たされたもんです」
サン・オーガスティン(San Augustin)地区の保健医療委員会のメンバー、ポウラ・バスティダス(Paula Bastidas)氏は言う。
■支持の強化
皮肉なことだが、チャベスにとり、キューバ人たちがもたらした価値は、実際には民主主義なのかもしれない。8月19日、チャベスは、大統領をリコールする国民投票が憲法上可能とした新たな憲法下での任期の中間点に達した。投票で大統領の人気が約30%まで下がる中、キューバ人たちに刺激されたイニシアチブは、貧しいベネズエラ人たちの間での支持基盤を強化しているように見える。
スイスベルト・フェルナンデス博士(Suisberto Fernandez)は、斜面に高くはりつくブリキの屋根のコンクリートの住宅が密集した貧しいマカヤパ(Macayapa)地区で働いているが、そこでは呼吸障害や皮膚伝染病や思春期の妊娠が普通にあると語った。
フェルナンデス博士は、キューバ人たちがベネズエラでは、チャベスからのみ感謝され、もしチャベスが落選すれば、キューバ人たちは確実に去ることを自分やそれ以外のキューバ人たちもよく認識していると語った。フェルナンデス博士は言う。
「私たちはこうした地域を支援するためにここにやってきたのです。もし、私たちが追い出されれば、地域は以前にそうであったように社会から疎外されたまま残されるでしょう。ベネズエラの医師はいつもここには来ないのです」
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